環境省のCO2対策は予算のばらまき

2018年11月16日 06:00

行政事業レビューの報告第3回は「環境省の省CO2対策事業」について、必要性・有効性・効率性の観点から。

僕は取りまとめ担当だったので、議論を聞きながら取りまとめ案を作る二重作業を強いられた。最後に読み上げた「取りまとめ」を掲載するが、だれも反対できないCO2対策という名目での予算のばらまきに強い懸念を覚えた。

省CO2型広域分散エッジネットワークシステム実用化推進事業

まずは必要性について。「科学技術イノベーション総合戦略2017」に記載されている通り、ネットワーク連携によってデータの分散が図られ、ネットワークの負荷が軽減され、それに伴い民間事業者のコスト削減に寄与するという効果がまずあって、それに併せて省CO2も図られるという二次的効果が期待できるという位置付けであるため、省CO2対策事業として国費を投入する必然性が乏しい。

事業の有効性について。本事業のネットワーク構成による省CO2効果を実証するのであれば、当然ながら比較試験を実施すべきである。しかし、対象群が適切に設計されていないため事業の方法が省CO2対策として特に有効であるか判断できない。

次に、事業は効率的に実施されるであろうかという点について。受託者が本事業を優先的に取り組めば、事業が期待する効果が効率よく実現するかもしれない。しかし、事業が想定する受託者は競争力や技術力のある大手通信事業者や大手メーカーなどの大企業であり、自ら進んで研究開発する資金も潤沢であって、本事業を優先的に実施する保証はない。

遠隔モニタリングシステム活用による効果的なCO2削減対策モデル事業

事業実施の必要性について。地方部の中小企業でのCO2削減が進んでいないことを示すデータが提示されず、事業を実施する根拠は薄弱である。

代替策と比較しての有効性について。地方部の中小企業でのCO2対策を進めるには、省エネのチェックポイントを示す分かりやすい事例集を作成・周知したり、地方部の人材育成のための研修会を開催したりするなどの代替策が考えられる。それらとの比較が事業設計段階で必要であった。なお、中小企業における省CO2対策を推進するには診断だけでは不十分で、具体的な対策が進んで省CO2対策となることは環境省も認めている。

事業の効率性について。代替策と比較して遠隔モニタリングシステムは費用が掛かるのではないか。代替策である事例集や研修会はすでに実施したとのことだが、それらの効果分析も行われていない。質疑を重ねたが代替策と比較して費用対効果が高いとの説明はなかった。

まとめ

最後に行政事業レビューの結果を以下の通り取りまとめる。

  1. 「省CO2型広域分散エッジネットワークシステム実用化推進事業」については、本事業で実証しようとする技術が大企業を中心に実用化間近である中で、単に事業者の費用負担を軽減する効果しか持たず、こうした事業者が自ら取り組むべきものに国費を投入する必要性は極めて低い。
  2. 「遠隔モニタリングシステム活用による効果的なCO2削減対策モデル事業」については、すでにCO2削減を進めている中小企業もある中で、遠隔モニタリングを行うことが効率的なCO2削減につながるとは考え難く、事業を実施する根拠が極めて薄弱であることから、事業実施の必要性を抜本的に見直すべきである。
  3. エネルギー対策特別会計(エネルギー需給勘定)における環境省予算は、石油石炭税で得られた税収の一部を財源としている。特別会計の下で執行された事業の中には適切に執行され国際連合の定めたSDGsに貢献すると評価できるものがある一方、過去の行政事業レビューで取り上げられた事業の中には、「透明性の向上に一層取り組むとともに、事業の効果や効率性をより一層精査すべき」「不要不急の事業が予算計上されることのないよう、事業の必要性等を厳しく精査すべき」などと指摘された事業も含まれている。今回も同様に「事業の必要性等を厳しく精査すべき」という結論となったことを踏まえ、不要不急の事業が予算計上されていないかどうか、引き続き行政事業レビューにおいて検証すべきである。

報告第1回『スマホ連携もできない前時代的な政府統計調査
報告第2回『競争が不足するJICAの契約

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