中間選挙後のアメリカと国際情勢、僕はこう読む!

2018年11月17日 06:00

アメリカの「中間選挙」が終わった。中間選挙は、大統領選挙の年の中間で行われる。いわば、トランプ政権の前半2年間に対する、有権者の最初の審判として注目されている。

Gage Skidmore / flickr(編集部)

果たして結果はどうだったのか。上院では、共和党が51議席、民主党が45議席となった。過半数を占めた共和党の勝利だ。だが、下院では共和党199議席、対して民主党は222議席をとった。民主党の勝利だったのだ。

これで、次期大統領選までの2年間、上院と下院の多数派が異なる「ねじれ議会」が続くことになる。

なぜ、民主党が下院で勝利したのか。その理由は、民主党支持者たちの「後悔」にあると言われている。前回の大統領選挙において、民主党はサンダースとヒラリー・クリントンが、予備選挙で激しく競い合った。僅差でクリントンが勝ったが、サンダースを支持していた人の中には、本投票に行かなかった党員が多かった。その結果、共和党のトランプ大統領が誕生したのだ。つまり、彼らが不投票を後悔した結果、今回は民主党員の投票率が上がった。それが下院での民主党の勝利となったという見方だ。

また、トランプ大統領の女性蔑視、LGBTへの無理解から、反感を持つ女性は多い。それが、今回の200人もの女性の立候補につながったのだろう。そして、当選は100人を超えた。

さらに、史上初のネイティブアメリカンの議員、イスラム教徒の女性議員、母親がプエルトリコ出身という史上最年少の29歳の女性議員も誕生した。これらは、明らかに「反トランプ」のエネルギーだろう。

アメリカは、これからどうなるのか。かなり大雑把な説明になるが、上院には外交の同意権があり、下院には予算の先議権がある。つまり、上院は共和党が多数派であるから、外交政策は変化ないだろう。一方、内政においてはどうか。いわゆる「ねじれ」状態で、民主党が多数なので、トランプ大統領の政治的なダメージがあるのではないか、という論調もある。

しかし、僕の見方はちょっと違う。問題は、民主党が共和党に何を迫れるかである。まず、トランプの「アメリカ第一主義」を批判できるのか。それは、できないだろう。では、移民禁止の政策はどうか。これも反対できないだろう。なぜなら、民主党のなかにも、こうした政策に賛成の議員、支持者は多いからだ。

だが唯一、批判できることがある。それが「ロシアゲート」だ。しかし、早速、トランプ大統領は先手を打ってきた。司法長官を解任したのだ。

トランプ大統領の政策のなかで、僕たちがもっとも気になるのは対中関係だろう。ここはトランプ大統領も議会も一致しているようだ。米中の摩擦は、なくならないだろう。問題は、この摩擦がどこまでエスカレートするかだ。

いずれ中国が負ける、という見方が多い。だが、僕はわからないと思っている。中国には、言論の自由も人権もない。だから政治的な意志決定は素早く、ひたすら経済発展を続けることができるのだ。これは、民主主義国家にはない強みだ。中国経済の勢いは明らかな脅威だと言えるだろう。

ただし、ひとつ期待がある。トランプ大統領というのは、北朝鮮の金正恩書記長との会談でもわかるように、歴代の大統領がしなかったことをしたい人間のようだ。だから、ひょっとして、突如、中国と和解するということもあり得るのではないか、と僕は思うのだ。

トランプ大統領は、日本に対して、貿易の不公正を強く主張している。来年1月の通商交渉では、さらに強く迫ってくるだろう。アメリカの出方は、いっそう読みにくくなった。そんななか、いかに粘り強い交渉ができるか、日本側の確固とした姿勢を期待したい。


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2018年11月16日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。

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