自衛隊の憲法明記は「原田案」くらいでいい

自民党にも知恵がある人はいる。

憲法9条をいじるのは、如何にも現在の憲法9条の変質を企図しているように思われるので、自民党が纏めている本来の自民党改憲草案でも、安倍総理の発案に係る改憲4項目の提案も大方の国民の共感と理解を得ることは難しいと思われる。

そもそも自衛隊は行政府である内閣の一部の機関なので、憲法の本体に自衛隊を明記するとどうしても自衛隊が独り歩きする根拠規定になってしまう虞があるから、そういう懸念材料を残さないようにするために細心の注意を払う必要があるだろう。

自衛隊は違憲の存在でないという国民的合意が既に成立しているという立場に立てば、とにかく憲法の条項のどこかに自衛隊という文言を潜り込ませればいいのではないか、という発想が出て来てもおかしくない。

私は、憲法の附則に自衛隊は合憲の存在だということを書き込む程度でもいいのではないか、という立場に立っているが、附則で自衛隊を明記するのは如何か、と思われる方もおられるだろうから、そういう方々の意見を考慮すると、憲法9条以外の場所に自衛隊という文言を書いておけばいいということになる。

原田義昭氏(環境省サイトより:編集部)

天皇の国事行為の中に自衛隊を書き込むと如何にも自衛隊が天皇の自衛隊のように受け止められてしまう虞が出て来るので、自衛隊の指揮監督権限が内閣総理大臣にあることを明記しておくくらいでいいのではないか、と考える人がいてもいい。

環境大臣の原田さんは、かつてからそういう提案をされていたようだが、今でもその提案は撤回されていないようである。

憲法9条の改正問題に固執するとなかなか憲法改正の発議には辿り着けないだろうから、原田案くらいを基礎にして憲法改正問題を議論出来るようになると、程々の憲法改正の発議が出来るようになるのでなかろうか。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年11月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。