米国で報告された尖閣周辺の「危ない現状」 --- 古森 義久

中国は尖閣諸島を奪取するために軍事力を土台とする攻勢を強め、日本領海に艦艇を侵入させるほか、新たに人民解放軍直属の潜水艦や軍用機の投入による日本領土侵食を開始した──。

11月中旬、米国議会の諮問機関がこんな報告を公表した。中国のこの動きは、尖閣諸島での日本の施政権を否定し日中両国間の軍事衝突の危険を高めるとともに、米国の尖閣防衛誓約へのチャレンジだともいう。

こうした中国の動向は、最近の日本への融和的な接近とは対照的である。中国当局は米国からの圧力を弱めるために日本への微笑外交を始めている。だが、米国議会の諮問機関による報告は、実際の対日政策の攻勢的な特徴は変えていないことを明示するといえそうである。

日本に対する軍事力攻勢を拡大

米国議会上下両院の超党派の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」は11月14日、2018年度の年次報告書を議会に提出した。米中経済安保調査委員会は、米中両国の経済関係が米国の国家安全保障に及ぼす影響の調査と研究を主目的とする委員会である。

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