江戸川区葛西海浜公園湿地登録 ~ラムサール・ラプソディ~

中学生の頃「ミュージックライフ」を愛読、音楽少女だったお姐も当時夢中になりました。お年玉で買った初QUEENアルバムは「The Game」(1980年)。リアルタイムで稀代のバンドの現役時代を共有できたことを幸運に思いながら封切間もなく、音楽を愛する現後援会長、前後援会長と三人で錦糸町オリナスで早速観ました。

仲間達との友情、時代を席捲した名曲の数々、何よりも本人と見まごう4人の俳優たちの名演は文句なく2018年ベストワン映画でありますが、一番心に残ったのは、エンターテナーとしていかにして観客を喜ばせるか、自分の限界を超えて常に最高の音楽をどう創り出すか…孤独なフレディの葛藤でした。それを最も象徴する曲がタイトルでもある「ボヘミアン・ラプソディ」ではなかったでしょうか。オペラでロックな四人のハーモニーは決して古びず今も人々を魅了し続けています。

決算特別委員第三分科会担当となりあることに気づく

本年度「平成29年度決算特別委員会」で、私は学校を所管する教育委員会や、保育園・虐待・福祉全般を所管する福祉保健局の審査がしたかったのでありますが、結果的には第三分科会担当となりました。いささかガッカリしながらも担当局を見ますと港湾局、建設局、都市整備局、環境局、産業労働局、労働委員会、中央卸売市場(と場会計のみ)でありました。東京都議会決算は10月を中心に行います。2018年10月?!江戸川区選出の都議会議員には大変重要なあることが、決まる歴史的なタイミングであること、そして「あること」に関わる全ての局が私の担当であることに気づかされたのでありました。その「あること」とは?!

都内初!!江戸川区葛西海浜公園ラムサール条約湿地登録なのでありました!!

【区議会議員時代から取り組む葛西沖の環境保全】

そうなりますと俄然やる気がムクムクと湧いてくるのが上田令子!
といいますのは、江戸川区議時代から、上田は海にせり出す当初計画案に反対を唱えていました。(図で見て知ろう!葛西臨海公園競技場作ったらどうなる!?

西なぎさに向けて客席がせり出した当初計画(お姐お手製切り貼り図w)

都議会議員となっても追及を続け、2013年オリパラ招致決定後議論紛糾し14年舛添前知事が下水道局の遊休地への移転を決定(葛西臨海公園カヌー競技場予定地が悲願成就、移転に!)。

無事に海岸部分を守った現在のカヌー・スラローム会場パース

江戸川区長、江戸川区議会、地域住民、日本野鳥の会の皆様と一丸となり声をあげ、御覧のように海岸部分の工事を阻止するに至りました。

谷津干潟の二の舞にしてはいけない

江戸川政局右も左も、時に施策によっては議論を重ねてきた多田正見区長とお姐も力を合わせたと言いますのも昭和40年代から始まった埋立事業で失われた葛西海岸の大切さに目覚めた江戸川区民が、力を併せ西なぎさ・東なぎさを取り戻した苦難の経緯があったからです。もちろんその実現においては、東京都港湾局所管葛西海浜公園、建設局所管葛西臨海公園の整備が大きく貢献し、不可欠であったことは言うまでもありません。

こうして、葛西の海の自然が戻り、2012年からは海水浴が実施されることとなり、本年10月16日に葛西海浜公園・三枚洲が、国指定葛西沖三枚洲鳥獣保護区、葛西沖三枚洲特別保護地区(367ha)に指定され、10月21日~29日にドバイ(アラブ首長国連邦)にて開催されたラムサール条約第13回締約国会議にて認定証が手渡され、長らく葛西臨海公園、海浜公園の環境整備に尽力された日本野鳥の会の江戸川区メンバーも意気揚々と参加されていました。

一方、1993年6月10日にラムサール条約登録された、千葉県習志野市谷津干潟においては、登録後にアオサの異常発生、その原因となる水質汚濁が発生し鳥類が激減しました。

水質汚濁が問題となった谷津干潟

この原因については、国の保護区に指定されたことから、管理者や権限が多重構造となり、鳥も海も水質も置き去れ、立ち入り禁止となったことが原因と言われています。お隣千葉県のこうした課題事例に学び、私は「葛西海浜公園を谷津干潟の二の舞にしてはいけない!」と湿地登録にあたり心に誓ったのであります。

野鳥飛来で1日20トン貝類を食す課題

湿地条約登録は大変に評価すべきところではありますが、一方でスズガモが2万羽飛来すると一羽で一日1kg、1日20トン!!という数の貝が食されることとなります。貝類は鳥類の餌となるだけではなく水質浄化の役割を果たしてくれます。江戸川区選出の都議として、有史以来漁業に従事されてきた先達の声も聴くお姐としては渡り鳥が、葛西沖に集中してしまうことで谷津干潟のような水質問題に直面しないか危惧するものです。東京都として海洋環境については、海上公園ビジョンのもと東京港全体で考えなければなりません。

自然に手を入れ“里海”“里山”として共存してきた先人に学べ

日本は、世界に冠たる海岸線と森林を有する稀有な先進国です。それは有史以来先人達が、海や山に手を入れて「里海」「里山」として自然と共存することで食を支える知恵を連綿と紡いできた証です。野鳥だけが増えるだけでは自然は守れません。貝は、水質改善に大きな貢献をしているので大量に食されては海洋環境と漁業に悪影響を与えかねませんから貝類繁殖の取り組みも進めなければならないのです。

政府・各局横断×怒涛の縦横無尽の串刺し質疑敢行!

そこで、決算委員であったお姐がしたことは、関連各局にむけてのさながら、名づけて「ラムサール・ラプソディ」質疑でした。

★港湾局★(お姐命名:ラムサール湿地登録担当大臣=ボーカル→フレディ)
政府、葛西臨海公園を所管する建設局、環境局、産業労働局と強固な連携を図り、貝類調査・対策を実施し、希少な「里海」三枚洲の環境保全にリーダシップを取って取り組まれたし!!

★環境局★(同:東京港水質環境担当大臣=ギター→ブライアン)
鳥獣保護区指定にあたり、所管する環境局は政府と交渉し、立ち入り可能として海洋環境保全を!

★建設局★(同:三枚洲海洋動植物研究大臣=ドラムス→ロジャー)
葛西臨海水族園で得た知見を活かし、トビハゼばかりではなく(笑)、どれだけ海鳥が来ても大丈夫な三枚洲に生息する貝類の研究を進め、海洋動植物と人々の食物連鎖を念頭に入れた目の前の里海の研究に貢献せよ!

★産業労働局★(同:漁業保全担当大臣=ベース→ジョン)
スズガモが大量に貝類を食すことにより、漁業活動に支障が出ないよう、関係者の声を聴き適切に対応していくべし!

お姐総括!

2018年11月24日ラムサール条約登録記念式典にて葛西在住日本野鳥の会飯田陳也氏と感動を分かち合う

同序幕式風景

港湾局・環境局・建設局・産業労働局の4局を同じテーマでそれぞれ所管に則した横軸で質疑をし、議員としてしていかにして地域住民が親しめる海を守るか、自分の限界を超えて常に最高の議会活動をどう創り出すか…孤独なお姐の葛藤が“オリナス”ならぬ織りなす縦軸は…

「国と地方自治体、都の局間縦割り行政による自然破壊から一度徹底的に失ってしまった葛西海岸・里海を守る!」

江戸川区選出のお姐がいる限りは、条約認定に浮かれることなく、声なき動植物達の「助けて」という声を聴き、縦割り行政によって三度里海を失うことがないよう、港湾局、環境局、建設局、産業労働局のお尻をたたき政府と互角で物を申してまいります。


編集部より:この記事は東京都議会議員、上田令子氏(江戸川区選出)のブログ2018年11月28日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は上田氏の公式ブログ「お姐が行く!」をご覧ください。