ゴーン事件:刑事司法の問題は同意するが、逮捕手続きに瑕疵はない

2018年11月29日 06:00

アゴラのみならず言論界で影響力のある八幡氏と郷原弁護士が一様にゴーン氏の逮捕に疑義を呈しておられ、言論界で両氏の意見に同調される方が一定程度現れるかも知れないので、世論が変な方向に流れないようにあえて異論を述べておく。

Wikipediaより:編集部

日産の帝王、絶対君主的な地位にあった会長のカルロス・ゴーン氏が、20億円もの巨額の報酬をそのまま計上すると株主等から批判されかねないと慮って、代表取締役で弁護士でもあるグレッグ・ケリー氏に実質的な報酬金額を変えないで株主等から批判を受けないような法的措置を講じるよう指示し、ケリー氏がこれを受けて、毎年の報酬額を対外的には10億円に減額したように見えるようにし、同時に、減額した10億円については別途契約書なり覚書を作成してゴーン氏が確定的に減額分を受け取れるように工作していた、ということであれば、これが何らかの違法行為に当たるとすれば、当該違法行為についてゴーン氏とケリー氏は共犯関係にある、ということになる。

当該行為が金融商品取引法上の違法行為、すなわち刑罰の対象となる犯罪に当たるのかどうか、ということについては識者によって見解が異なることもあり得るが、検察当局が相当周到な検討を経て犯罪に当たると認定し、また、令状を発布した裁判所も同じような法的判断に達したということであれば、その法的判断は一応首肯されるものだと言っていいだろう。

共犯関係にあると認定されたゴーン氏とケリー氏が同時に日本にいるということは、まずなかったはずである。

検察当局が、滅多に同時に日本に立ち寄ることがないゴーン氏とケリー氏の来日を待って、ほぼ同時に両者に対して逮捕状を執行した、ということは不思議でも何でもない。

八幡氏や郷原氏は、本件では逮捕の必要まではなかったのではないか、という見解を共有されているようだが、検察当局も令状を発布した裁判所もそういう見解は取っていない。

まあ、逮捕後の取り調べについて弁護人に立会権がないのは、欧米諸国と比較して如何なものか、という批判が出てくるのは当然だが、これは司法文化の違いによるもので、検察当局が自白を強要しているという事情はないようなので、本件ではそう大きな問題にはなりそうにない。

まだ事件の全容が明らかになっていないのに、八幡氏や郷原氏は何故検察当局の捜査をあれほど批判されるのだろうか、と不思議でならない。

まあ、日本の検察当局もあれこれチョンボしているので、今の段階で検察を全面的に擁護することは出来ないが、日本の司法制度が危機に瀕している、などという悪印象が流布することだけは何とか食い止めたいものである。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年11月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。

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