AI☓教育、国家戦略を描きたい

2018年12月06日 11:30

超教育協会+DiTT主催「AI×教育WG」、公開ワーキングを開催しました。
これまで2回、DiTTで開催したWGを、石戸奈々子理事長率いる超教育協会とのジョイントで、より強力・継続的に進めることにしたものです。

ぼく以外のメンバーは以下のとおり。
礒津政明ソニー・グローバルエデュケーション社長
乾健太郎東北大学教授・理研AIPセンターチームリーダー
遠藤太一郎エクサウィザーズ執行役員
小宮山利恵子リクルート次世代教育研究院院長
佐伯宜昭NICT副研究開発推進センター長
神野元基COMPASS代表
高村大也産総研人工知能研究センターチーム長
辻村直也ウェブリオ代表
任宜DeNA China CEO
平井聡一郎情報通信総合研究所特別研究員
本庄勝KDDI総研 研究主査
松田恵示東京学芸大学副学長
山田未知之私塾界代表取締役
横尾俊彦佐賀県多久市市長、全国ICT教育首長協議会 会長
石戸奈々子超教育協会理事長

AI☓教育を語る、ほぼオールキャストです。
石戸理事長のイニシアティブと小宮山さんのリーダーシップで座組ができました。
以下、進行は石戸さんです。

小宮山利恵子さんが「AIと教育を俯瞰している人は世界にもいない」と切り出し、会議スタート。リクルートが東大・松尾研や東京学芸大と共同でカリキュラム等を開発する取組と合わせ、IBMがワトソンのチャットボットを反転授業の自習で使う事例なども紹介、この分野の進展を共有しました。

衝撃を受けたのは、中国国務院が昨年、AIを使った教育を国家戦略に位置づけると発表したという話。日本政府も知財計画などでAIの利用促進や教育情報化を掲げていますが、それらは別物であり、AIと教育をかけ合わせた議論は皆無。国家戦略と捉える中国とは意識面で開きがあります。

学芸大の松田さんはAIが学校だけでなく、家庭や地域を含め「学び」自体を変えると主張。賛成です。それが「超教育」の目指すもの。その近未来像を描きたいです。しかし松田さんは、教育分野ではその基盤となるデータが使えないという課題を切り出しました。

これには遠藤さんも同意。磯津さんも「ブロックチェーンの実証実験も進めているが、データの収集が難しい」とのこと。高村さんはさらに「データのクオリティが重要」と指摘しました。これがまず直面する課題ですね。

横尾市長は「それらを自治体や現場が独自で対応するのはムリであり、ナショナルな教育パッケージを示すべき」と言います。横尾さんが代表を務める首長協議会が受けるとのこと。このWGでの成果を持ち込みましょう。神野さんが実証できる現場を求めたところ、「ウェルカム」と横尾さん。

教育情報化の界隈は、できない理由を挙げることが多かったのですが、こういう「やりましょう」というノリがうれしい。AI☓教育の未来像を描くビデオ作りや、実証研究の実施、そしてデータ共有・流通の提言など、すべきことがほの見えてきました。

その未来像について、神野さんから「VR/ARの利用はイメージしやすいがロボットは教室で使う必要性があるか」と問題提起。
松田さん「インタフェースとしてよい。」
小宮山さん「ロボット最先端国として日本からモデルを打ち出したい。」
議論となりました。

磯津さん「AIBOはしゃべらないロボット、つまり相棒。寄り添うロボットもある。」
山田さん「AIとロボットの教育活用はもう進んでいる。」
高村さん「ロボットは人型がいいかどうかも立証・実証できていない。アカデミズムと連携して結論を出していくといい。」

AIを導入する意味についても議論となりました。
磯津さん「AIは画一的な答を求める。人間による多様性の確保が大切。子どもが”なりたい自分”の目標を持ち、AIがサポートする社会を。」
山田さん「”効率”の次が必要となる。」

辻村さん「国算社理より、音図家体や放課後・クラブ活動との相性が高い。」
毛利さん「つくば市はAIを活用して学力を上げるのと、AIに負けない能力をつけることの両方を進めている。」

AIスマートスピーカーが注目される中、小宮山さんが声を入力してうつ症状を察知するシステムに言及。いじめやストレスを検知する保健室向けの仕組みに使えると石戸さんが受けました。発話を録音しておくとアダプティブラーニングに使える、と議論が広がりました。

閉会した国会でデジタル教科書の制度が成立し、教育情報化後進国ニッポンもようやく動き始めたものの、世界は2周先を走る。この議論を高めて国家戦略に盛り込みたいし、世に問う未来像を描きつつ、データ利用など具体的な実証、アクションにも落とし込みたい。設計してまいりましょう。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年12月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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