0円タクシーは単なる話題づくり?裏話を聞きつつ空港まで乗ってみた

2018年12月10日 06:00

元港区議の益満寛志です。

ハイレベルな読者諸氏には無縁かと思いますが、私のような貧乏人業界で話題になっていることと言えば、期間中は支払額の20%が還元される夢の決済アプリ「PayPay」、そして無料でタクシーに乗れる「0円タクシー」です。

前者のPayPayはもちろん利用しているのですが、後者は都内50台限定なのでなかなか乗れません。
しつこく探していたところ、運よく後者の「0円タクシー」に乗れました。

DeNAの配車アプリ「MOV」を使うと、運が良ければ「日清どん兵衛」がスポンサー提供するタクシーに無料で乗れるというものです。
ついにタクシーまで広告モデル導入か?ということで大々的に報道されました。
12月5日から31日までの期間限定提供。

「タダ」と聞けば、これは貧民としては使わないわけにはいきませんね。
とはいえアプリで探すも、無料タクシーはなかなか見つけられずにおりました。

「さてはどん兵衛だけに一杯食わされたか…?」

と思い始めていた時、ついに乗れました。
それも、たまたま自宅から羽田空港に行くタイミング!

アプリの使い方は簡単で、ダウンロード後に配車画面を開き、ひたすら「0円タクシー」が出るかどうか試します。
運よく「0円タクシー」が出てきたらすぐに呼びましょう。

待つこと数分ほどでタクシーが到着。
基本は白い車体に横半分ほどのラッピングと屋根の看板で、思ったよりは目立たない感じです。
車両は旧式のセドリックで、地方の個人タクシーみたいな感じでしょうか。

本当に無料なの?と思って運転手さんに聞いてみます。

ぼく「あの、ぼく羽田空港に行きたいんですが、本当に無料なんですかね…?」

運転手「大丈夫です。無料です!」

安心して乗り込みます。
これはラッキー!

車内はシートも床のマットもすべて専用のものが使用されている手の込んだ仕様。
23区内限定、50台で1ヶ月にも満たない運用期間なのに、なかなかお金をかけている印象です。

とはいえ広告広告している感はなく、後部座席モニターも普通のタクシーと同じような感じで日清どん兵衛のCMがループ再生されるだけで、音量も小さいのです。
むしろ「薄毛対策」や「1ヶ月で5キロ痩せる」パンフレットが置かれて、毎度心がざわついてしまう通常のタクシーよりも広告感は少ないかもしれません。

料金メーターは迎車料金を含め、普通に回ります。ちょっとドキドキします。
無料ですが。

運転手さんにいろいろ聞いてみます。

ぼく「どんな人が乗るんですかね。やはり仕事で使うサラリーマンですかね?」

運転手「いや、それが違うんです。一番多いのは高校生と大学生ですね」

ぼく「えっ、なんで10代の若い子が乗るんですか?」

運転手「インスタっていうんですか?ああいうので、乗ったことを友達に自慢するみたいなんですよね。日中に乗ってるのはほぼ高校生か大学生なんですよ」

ぼく「へぇ。別に乗る必要ないのに乗ると」

運転手「昨日なんて、学校まで迎車に行った高校生の3人グループが乗った後に、おいどこ行くよ、みたいな話で5分以上も停めたまま会議されてしまいましてね。結局東京タワーまで乗せたんですが」

ぼく「23区内だと本当にタダなんですね?」

運転手「乗れる場所は都心部のみなんですが、降りるところは23区内ならどこでも大丈夫ですよ。先日なんて、品川駅から大泉学園まで女子高生1人を乗せました。高速代も全部タダなんですよ」

ぼく「それはすごい。タダだと実車率も高いでしょうね」

運転手「ほぼお客さんが乗ってますよ(笑)。朝7時から夜22時までの勤務なんですが、途中休憩をはさむものの、通常よりきつい勤務です。さらに1日あたりの報酬額は決まってますから、たくさん乗せたら給料が上がるわけではないんですよ。休憩中も写真撮られたりしますから、のんびりタバコを吸うこともできないです。大変です」

ぼく「どういう基準で運転手が選ばれるんですかね?」

運転手「事故が起きたら新聞に載ったりで大変ですからね。事故率の低いベテラン運転手が会社から選ばれているみたいです。4社で分担して50台を出してるんですが、どこもそんな感じかと思いますよ」

ちなみに、この運転手さんも10年以上の乗務歴で、優良運転手でした。

運転手さんはとても感じが良く、羽田空港まで快適に乗車できました。
そして迎車料金入れて5,000円ほどの運賃は完全にタダ!

モノレール代が節約でき、ちょっとしたセレブ気分が味わえる旅となりました。
特に広告をごり押しされたりアンケートを書かされたりといったこともありませんから普通のタクシー気分で利用できました。

結局のところ、これは単にキャンペーンであって、広告モデルで業界構造を変える云々というわけではなさそうです。
乗車あたりの広告効果を高めて無料タクシーモデルを構築するというより、単に無料タクシーを宣伝することで配車アプリの認知度を上げる、というパブリシティ効果狙いなのだと改めて実感したところです。
5,000円の乗車料を広告費で賄うのはどう考えても無理がありますからね。

その観点でいくと、今回のマーケティングは大成功と言えるのではないでしょうか。
タクシーの枠を押さえたのが1台1日8万円として、50台で1日400万円、期間中に1億800万円ですが、各種メディアに出たことを考えると、普通にネット広告を出す何倍もの効果が得られたわけです。

到着した空港でも、居合わせた修学旅行生に大注目でした。

これを考えた担当者は天才かもしれませんね。

企業の広告担当者の方には参考になる事例かと思います。
そして、私のような貧乏人にとっては、こういう企画が続々と生み出されるといい世の中になるなと思っている今日この頃です。

無料タクシー乗車証を手に空港で写真を撮る「エアポートおじさん」

益満 寛志(ますみつ ひろし)元港区議会議員
1983年生まれ。明治大学商学部出身。学生時代に当時ブームだった「学生起業」を経験したチョット意識高い系。27歳で当時存在した幻の政党「みんなの党」から港区議選に出馬し、まさかの当選。1期を務めたのち、次の選挙には出ずに無職となり貧乏隠居生活を満喫中。

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