東京新聞GJ!F35A国内生産中止、完成品輸入に切り替えへ

2018年12月10日 06:00

<税を追う>F35A国内企業参画中止 産業育成 絵に描いた餅(東京新聞)

ステルス戦闘機F35Aの生産を巡り、国内の防衛産業の育成という防衛省の狙いは、軌道修正を迫られることになった。千八百億円もの国費を投じながら、国内企業が生産に参画できるのは、ごく一部。巨額の税投入に見合うだけの恩恵は得られていない。防衛省の見通しの甘さに、企業からは「税金の無駄遣いだ」との声も聞こえる。(「税を追う」取材班)

「やむを得ないと思う。議論はあると思うが、価格差が出ているから」。防衛省幹部はそう漏らした。

防衛省は年末の二〇一九年度予算案の作成に向け、国内企業が機体の組み立てや一部の部品製造に参画してきた当初の計画を撤回。一二年度から導入を進めてきた四十二機のうち、残りの八機は来年度から米国製の完成品輸入に切り替える。

この幹部が撤退理由に挙げたように、国内企業が加わると機体価格は完全輸入よりも割高になる。昨年の財政制度等審議会でも、財務省から「国内企業の参画は在り方を見直してはどうか」と注文が付いた。

FX選定当時ぼくはユーロファイターを推していました。
F-22のリリースはありえない。ありえないことを待っている間にF-2の生産ラインは止まる、そうなれば協力企業から撤退が相次ぐ。

これはそのとおりになりました。

F35A(空自サイトより:編集部)

国内の戦闘機の生産維持基盤の維持を考えるならばF-35Aの選択はありえず、FA-18はブラックボックスが多く値段の交渉も、自前の改良も困難だからです。
加えて申せば欧州製の戦闘機導入によって米国に対する発言権や外交カードの入手が可能であるからです。
さらにF-35を導入するのであれば、F-35Bを輸入(せいぜい二個飛行隊)で導入し、英国型の陸上基地と軽空母を併用するべきだと。

そうであればステルス戦闘機の導入は可能であり、またユーロファイターの近代化を通じて技術の移転も可能であり、国際共同開発のノウハウも学べる。そのためにはそもそもFX42機というのは少なすぎる。最低70機程度を調達すべきだ。そうも主張しました。
仮にFX後に共同開発を含めた国産戦闘機開発及び生産に関する政策の見直しも、タイフーンを導入してその間に行えばよいと。

F-35Aの導入ではライセンス国産は出来ず、このため技術移転という旨味はないし、FACOであれば単にコストを押し上げるだけだだから輸入にしろと主張しました。

F-35Aの導入はすなわち、国内戦闘機生産基盤の破壊であり、それを選択するのであれば政策の変更を明確にすべきだが、その覚悟があるのか、それがないならF-35Aの導入はやめるべきだ。

いまでもこの主張は間違っていたとは思いません。
むしろ指摘したことが、現実化していると言っていいでしょう。

国産戦闘機の自主開発は白日夢でしかありません。永田町の先生方は現実を見ない、空幕、防衛省、業界の都合のいい話を鵜呑みにしているのでしょうが、現実を見れば我が国にまともな戦闘機を開発できるノウハウも技術力も、生産基盤もありません。大カネつかってクズを作るのが関の山です。
F-2から何も学んでいない。テクノナショナリズムの夢をみているだけです。

ぼくは安倍政権には全般的に否定的ですが、この戦闘機国産、そして調達改革を進める姿勢は評価します。

ただ、生産を担ってきた企業の心境は複雑だ。関係者は「防衛省は完全輸入に切り替えた方が、コストがかからないと、そろばん勘定したのだろう五百億円もかけてFACO(組立工場)を造ったのに、つぶしてしまうのか」とこぼす。

機体の整備は国内企業が引き続き担うが、「整備だけするのはリスクが高く、下手に手を入れて整備不良を起こしてはかなわない」と不安を漏らした。

こういう寝言を平気で言っているから日本の防衛産業は駄目なんです。まったくの国営企業体質です。
で、P-1の稼働率はどうなのだ、F-2のレーダーの不具合が長年治らず、それを治ったと言って納税者を騙してきたのは誰なのだ、高い国産コストに食われて、整備が確保できず、共食い整備しているのは誰のせいだということです。

それにそれならばエアバスヘリは国内で生産していませんが、神戸の施設で整備だけではなく教育までおこなって、自衛隊よりも遥かに稼働率にシビアな警察、消防、自治体民間の機体を整備できるのだ。君たちが無能なだけではないか、という反論にどう答えるのでしょうか。

背景にあるのが、安倍政権で急増する米国政府の対外有償軍事援助(FMS)による高額兵器の輸入だ。国産も含めた兵器ローン(後年度負担)は五兆円を突破し防衛費を圧迫する。

ある政府関係者は「そのまま輸入する方が予算的には浮く。FMSが増える中で、こういう部分を削らないと立ち行かなくなっている」と話している。

安倍政権が米国に防衛費を貢ぎ、国防を怪しくしています。このため防衛費が圧迫されて、調達の合理化が待ったなしなったということでしょう。つまり防衛省や政府の前向な改革ではなく、追い詰められて背に腹を代えられないという事態になったということです。

この局面においては官邸、NSC、自民党国防部会も、防衛省、自衛隊の世迷い言よりも、財務省の指摘に合理性を感じたということでしょう。

更に申せば記者クラブがこれまであまりにも防衛費の使い方、特に装備調達に関して無関心だったことが上げられます。
すでにご案内のように、記者クラブは専門誌やぼくら専門のフリーランスのジャーナリストを記者会見その他の取材機会から排除しています。記者会見では当局の意向を忖度して厳しい質問もしません。そして多くの記者には専門知識がありません。結果記者クラブは国民の知る権利から当局を守る防波堤となっています。

以前外国メディアの人間として記者会見にでて、具体論を上げて質問しても防衛記者クラブ会社は全く後追いしませんでした。NHKは有ろう事か、そういう質問を妨害しようとさえしました。

無論一般メディアと我々専門記者の興味の対象は異なることが多いのですが、それでも例えばオスプレイにしても危ない、危ないと騒ぐだけでした。対してぼくのようになぜ米陸軍が採用しなかったか、運用上必要なのか、17機で陸自航空隊のヘリ調達費の12年分、年鑑整備費の2/3を食ってまで調達すべきなのか、事前にきちんとしたリサーチをしたのかなどということを追求してくれば導入は見送られたかもしれません。

今回の件でも戦闘機100機1兆円より保育園をという極論を叫ぶよりも、ボクのようにFACOは無意味だ、調達を輸入に切り替えろという主張が通れば、かなりの防衛費をセーブできます。
野党もそのような形に戦略を代えていかないと、納税者の支持をえることはできないでしょう。
無論、米国の7倍8倍9倍の値段で火の出る玩具を買うならば、輸入に切り替えて防衛費を下げて、その分を社会保障に回せという主張は大いにすべきですが。

この〈税を追う〉シリーズにはぼくが最初から協力をしましたが、こういうコラボレーションも記者クラブを開放すればもっとスムーズに行えるはずだと思います。

■本日の市ヶ谷の噂■
陸幕が来年度予算で要求している「装輪自走りゅう弾砲」は出来が悪く、富士学校では導入には消極的な意見が強い。このため今年予定されていたプレス公開も見送られたとの噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年12月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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