2019年、日本を変えるいくつかの法律

2018年12月11日 11:30

12月8日、改正出入国管理法が成立。これにより2019年に施行される法律が勢ぞろいしたので、主要な法律を紹介する。

改正著作権法(1月1日施行)

情報通信技術の進展等の著作物等の利用をめぐる環境の変化に対応し、著作物等の公正な利用を図るとともに著作権等の適切な保護に役立てるため以下の改正を行う。

1.柔軟な権利制限規定
イノベーションの創出を促進するため、情報通信技術の進展に伴い将来新たな著作物の利用方法が生まれた場合にも柔軟に対応できるよう、ある程度抽象的に定めた規定を整備する。

2.教育機関での著作物の配信利用の拡張+補償金
ICTの活用により教育の質の向上等を図るため、学校等の授業や予習・復習用に、教師が他人の著作物を用いて作成した教材をネットワークを通じて生徒の端末に送信する行為等について、許諾なく行えるようにする。

3.障がい者の情報アクセス機会の拡充
マラケシュ条約(視覚障害者や判読に障害のある者の著作物の利用機会を促進するための条約)の締結に向けて、現在視覚障害者等が対象となっている規定を見直し、肢体不自由等により書籍を持てない者のために録音図書の作成等を許諾なく行えるようにする。

4.デジタル・アーカイブ化を促進
美術館等の展示作品の解説・紹介用資料をデジタル方式で作成し、タブレット端末等で閲覧可能にすること等を許諾なく行えるようにする。

冒頭から難しい著作権法の話になったが、近刊の『音楽はどこへ消えたか? 2019改正著作権法で見えたJASRACと音楽教室問題』では、Q&A方式で改正法についてもわかりやすく解説したので、参照されたい。

改正出入国管理法(4月1日施行)

介護や建設など人材確保が難しい分野での外国人材受け入れを拡大するため、次の在留資格を創設する。

1. 特定技能1号
不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

2. 特定技能2号
同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
1号の在留期間は最長5年で家族帯同はできないが、2号は在留期間の更新も可能で、配偶者と子どもの帯同も可能。

働き方改革関連法(4月1日施行、中小企業は2020年4月1日および2021年4月1日施行)

人口が減少する中、一人ひとりの生産性を高めることを狙いとして以下の改革を行う。

1. 時間外労働の上限規制の導入
時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。

2. 同一労働同一賃金
短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の格差の是正を企業に義務付ける。

3. 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1,000万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、年間104日の休日を確実に取得させること等の健康確保措置を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。

皇室典範特例法(4月30日施行)

皇室典範は皇位の継承理由として崩御のみを規定し、天皇の退位とそれに伴う皇嗣の即位を認めていないことから、特例法で以下のように定める。

1. 天皇は皇室典範特例法の施行の日限り、退位し、皇嗣が直ちに即位する。

2. 退位した天皇は上皇、上皇の妃は上皇后とする。

3. 天皇陛下の退位後、皇位継承順位第1位を意味する「皇嗣」となる秋篠宮さまについて、皇室典範に定める事項は皇太子の例による。

関連して、国民の祝日である天皇誕生日を12月23日から2月23日に改める、「改正国民の祝日に関する法律」も4月30日から施行。

改正公職選挙法(2019年参議院議員選挙時施行)

参議院の1票の較差を是正するため議員定数などを以下のように改正する。

1. 参議院選挙区選挙における較差の縮小
参議院選挙区選出議員の定数を 148 人(現行 146 人)とした上で、埼玉県選挙区の改選定数を4人(現行3人)とする。

2. 参議院比例代表選挙における定数の増加と特定枠制度の導入
(1) 定数の増加
参議院比例代表選出議員の定数を 100 人(現行 96 人)とする。
(2) 特定枠制度の導入
参議院比例代表選挙について、候補者の顔の見える、国民が当選者を決定する選挙とする観点から導入された非拘束名簿式を基本的に維持しつつ、全国的な支持基盤を有するとはいえないが国政上有為な人材あるいは民意を媒介する政党がその役割を果たす上で必要な人材が当選しやすくなるよう、特定枠制度を導入する。

改正消費税法(10月1日実施)

社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税率の引き上げについては、2012年8月の改正消費税法によって2014年4月に5%から8%に、2015年10月に8%から10%に、2回にわたって引き上げられることが決まった。8%への引き上げについては、当初予定どおり2014年4月に実施されたが、2015年10月に予定されていた10%への引き上げについては、平成27年度の税制改正で2017年4月1日に延期された。さらに2016年11月28日に公布された改正消費税法によって2019年10月1日に再延期された。再延期した改正法は公布と同時にすでに施行ずみ。

城所岩生

 

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