日銀の金融政策の軌道修正は不可能なのか

2018年12月17日 11:30

日銀は物価目標の達成を待たずに現在の異次元緩和と呼ばれる金融政策を軌道修正するのではないかとの観測が債券市場関係者を主体に出ていた。しかし、ここにきての米国を含む世界的な経済減速への懸念、それによるFRBの利上げ停止観測などもあり、それでなくても困難とされる日銀の軌道修正がさらに困難になるのではとの観測も強まっている。

日銀の金融政策の軌道修正とは、まずはマイナス金利政策の解除であり、長期金利ターゲットの引き上げなども含まれる。本来であれば、長期金利コントロールの解除も行う必要があると思われるが、日銀の金融政策の目標が金利となっている以上、これは利上げと認識される可能性もあり、こちらはなかなか難しい。

もちろんマイナス金利政策の解除も金利引き上げに映るかもしれないが、あくまでマイナス金利は日銀への準備預金の一部に掛かるものであり、解除しても影響は限定的な上に、マイナス金利が解消されると銀行などにとっては収益改善に繋がる。

しかしこれすらも現状は解除が難しいのも確かである。ここにきて黒田日銀総裁もストック効果という言葉を使っているが、すでにある日銀の巨額の保有資産によるストック効果でも十分緩和効果はあるとの認識を広めれば、多少なりの軌道修正も可能ではなかろうか。

それでもそれを可能とさせる環境としては外為市場への影響などを考慮し、FRBの正常化、つまり利上げが続いているタイミングがベストとなる。さらにECBも正常化に舵を取っているタイミングが良い。しかし、すでにそれを可能とさせるタイムリミットが近づきつつあるように思われる。

今後もし世界的に景気が悪化するような事態になり、世界的なリスクが強まるなどすると日銀は追い込まれかねない。追加緩和を行うにしても、現在の金融政策の対象が金利となっていることで、マイナス金利政策の深掘りは効果は見えないどころか、金融機関の収益環境をさらに悪化しかねない。長期金利をマイナスにしたところで、それによる効果よりも債券市場の機能をさらに後退させかねない。金利を量に戻すにしても、ここからさらに巨額の国債買入を行うにも無理がある。

本来であれば経済や物価環境に合わせた正常化をすべきであったが、それができないならば多少なり軌道修正を行った上で、現在の緩和策というかストック効果を維持させるだけでも十分な緩和効果が出ることをアピールする必要があろう。ただし、これ以上のコミットメントの強化などはさらに自らを縛りつけることにもなりかねず、そういったものは避けて、調整の余地を残すような対応が望まれよう。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年12月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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