臨場感を高めるならこれをつかう

昨年くらいから、AI(人工知能)が話題になっています。AI の発展で人間がやる必要のない作業を中心に、少しずつ代替が進んでくることが予想されています。しかし、本質的な人間の関わりの部分が無くなることは考えにくいでしょう。

10月15日に、筆者として11冊目の書籍『即効!成果が上がる文章の技術』(明日香出版社)を上梓しました。現在、3刷と堅調です。

さて、擬音語、擬態語というものをご存じでしょうか。これは副詞に含まれる単語です。まず擬音語を紹介します。
・ブーブー (豚の鳴き声)
・ドクドク (心臓の鼓動)
・ガチャン (ガラスの割れる音)
・ゴロゴロ (雷)
・ガタンゴトン (電車)
・パチパチ (拍手)
・チャリーン (鈴)
・ドカン (爆発音)
・ズズー (ラーメンを啜る音)

次に擬態語です。擬音語とは異なり実際には音を出さないものです。たとえば、状態や感情などの音を文字にしたものです。擬態語は他の言語ではあまり例がなく、その多さは日本語の特徴です。
・バラバラ (散らばっている様子)
・メラメラ (好きな感情の様子)
・モクモク (煙が立ち上がる様子)
・キラキラ (輝いている様子)
・ギラギラ (強烈に輝いている様子)
・ピカピカ (新しさや綺麗な様子)
・たっぷり (豊かな様子)
・きゅん (感情の様子)
・じーん (感情の様子)
・ムラムラ (感情の様子)

これらの、擬音語、擬態語は臨場感・躍動感を演出するにはもってこいです。紹介した以外にも多くの言葉がありますが、いずれも読者に深い印象を与えることができます。

・梅雨にはいった。 → ・梅雨にはいった。ゴロゴロと雷の音がする。
・新しく車を買った。 → ・新しく車を買った。ピカピカだ。

どちらに臨場感があるでしょうか。左の文は紋切り型の決まりきった定型文です。一般的ですが個性に乏しい表現ともいえます。同じ状況を文章にしているにも関わらず、右の文章のほうが描写にリアリティがあって風景が目に浮かびませんか。ただし、多用しすぎると、文章が子どもっぽくなるので注意してください。

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員