仮想通貨の呼び名を「暗号資産」に改める。ビットコインは通貨ではない理由

2018年12月19日 11:30

金融庁はビットコインなどインターネット上で取引される仮想通貨の呼び名を「暗号資産」に改める。日本円やドルなどの法定通貨と誤解される恐れがあるほか、20カ国・地域(G20)会議などの国際会議で暗号資産との表現が主流であるため日本でも統一する(18日付日本経済新聞)。

この記事には有識者で構成する「仮想通貨交換業等に関する研究会」で報告書案を示したとあり、金融庁のサイトで確認したところ、「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第11回)の報告書の最後の方に次のような記述があった。

「最近では、国際的な議論の場において、“crypto-asset”(「暗号資産」)との表現が用いられつつある。また、現行の資金決済法において、仮想通貨交換業者に対して、法定通貨との誤認防止のための顧客への説明義務を課しているが、なお「仮想通貨」の呼称は誤解を生みやすい、との指摘もある。こうした国際的な動向等を踏まえれば、法令上、「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更することが考えられる。」

「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第11回)の報告書

ここで議論されそうなのは、そもそも通貨とは何かとの問題となる。貨幣は、石であったり貝であったり、金銀であったり、紙であったりするが、そもそもそこに存在すべきものは、それを使う人との間での「信用」となる。その信用を維持させるために、長きにわたる金融の歴史が存在する。その結果として、現在は政府から独立した中央銀行が発券機能を有するようになり、管理通貨制度が発達してきたのである。

ただし、これは歴史の途中でのものとの認識もあろう。日本では明治時代の途中までは中央銀行など存在していなかった。それとは異なるシステムが歴史とともに構築されてきた。そうとなれば、ビットコインなど仮想通貨と呼ばれたものが、あらたな通貨として流通する可能性も当初は意識されたものと思われる。

しかし、現代の金融システムはかなり高度化、複雑化している。通貨を巡るインフラ整備についても、かなりの労力と費用が投じられている。そうでなければ万全の通貨インフラは構築できない。そのための機能を果たしているのが中央銀行である。中央銀行は金融政策だけを行っているわけではない、というよりもそのほとんどの機能が通貨インフラのためにあるといっても過言ではなく、金融政策も通貨価値を安定させるためのものである。

そこに管理者不在ともされる仮想通貨が出てきても、インフラの不備が仮想通貨そのものの信認を得られず、残念ながら通貨としては認められないという結論となってきている。

さらに投機的な動きも出たことによって、安定させるべき価値が乱高下してしまったことも通貨としての役割を担うには無理がある。通貨には価値尺度という機能もあり、その機能も見いだせないこととなる。通貨の交換機能についても、紙幣などに比べてかなり使いづらい。当然ながら日本国中どこでもいつでも使えるわけではない。貨幣のもうひとつの役割、保存についても、仮想通貨の流出問題があり、やはり通貨としての機能に問題がある。

いずれにしても、ビットコインなどは通貨と呼べるものでは決してない。その意味では「暗号資産」との呼び方の方が理に適っていよう。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年12月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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