ファーウェイ事件は米中の諜報戦争?

2018年12月19日 14:00

アメリカと中国を巡る通商貿易戦争と今回のファーウェイの問題は別次元の問題、と私は指摘しました。通商貿易戦争は貿易収支などの不均衡に対する古典的な争いであるのに対してファーウェイ事件は最新技術による諜報という新たな潜在的問題と考えています。

写真AC:編集部

ファーウェイの製品が世界中に設置される中、そこを通じて何か情報漏えいが起きる手段はある、と言い切ってよいと思います。それを実行するかどうかは別としてそのようなインフラでサイバー攻撃といった実際の「交戦」の重要な下地となることをようやく現代の人々は認識し始めたかもしれません。

かつて戦争とは弓矢や槍、それが鉄砲になり、陸海空軍に進化してきました。ところが第二次世界大戦以降、局地的戦争は別として大きなものはめっきり減りました。理由の一つに戦争には多大なる犠牲者以外に膨大なカネがかかり、一国の命運すら変えるリスクがあると指導者たちは気が付いたからでしょう。今世紀に入ってから22の局地戦争がウィキペディアにリストされていますが、先進国では高性能の軍事品や航空機、空母といったカネの力に任せた一種の抑止力的な方法が好まれる手段のようであります。

日本でもF15の後継機であるF35のAとBを全部で105機追加で買うことを決定しました。総額で1兆2600億円です。核を持てない日本ゆえにこういう最新鋭の防衛装備品で自己防衛力を持とうという考えでありましょう。また、米国からこれらの装備品を購入するのは安全保障条約という理由のもと、購入費用には見えない保障コストが内包されているのだろうと察します。これはやむを得ないのでしょう。

ところがアメリカが今、中国に対して躍起になっているのは諜報、情報操作、サイバーテロという今までなかった形の戦争であります。特に多くのやり取りがコンピューターを介して行われる今日、どれだけ注意深くしても誰かの不用意な行動で情報漏れを起こすこともしばしばです。

更には諜報という点では相手の会社に忍び込み、社員などに成りすまして情報が筒抜けという映画並みのことは我々が知らないだけでそれなりの行われていると身構えるべきであります。

では日本はどうすればよいのでしょうか?日本に於いて諜報は第二次世界大戦終了時に表向き、消滅しています。今、政府の一部には諜報とみられる部門はありますが、基本的には組織ごとにバラバラな動きで、専門家も少ないのではないかとみています。つまり国家安全という大所高所から見た場合この分野については極めて脆弱であり、早急なる対策を取る必要がありそうです。

その為には日本独自というより他国とアライアンスを結ぶしかなさそうです。現在アメリカと旧英国連邦の一部の構成国であるカナダ、オーストラリア、ニュージーランドが組んでファーウェイ排除を含む対策を進めています。日本は否が応でもこの傘下に入らねばならないでしょう。言い換えれば日本で情報と諜報という分野がようやく水面下から出てきたのかもしれません。

日本でスパイといえば戦前、戦中にレッドバージ(赤狩り)や特高警察という嫌なイメージがありました。はたまた陸軍中野学校という絶対秘密主義の諜報部隊もありました。その反動なのか、現代に於いては芸能界すっぱ抜きや不倫調査といったかなりレベルの低い探偵まがいのものにとどまっています。一方で我々が小さい時から親しんできた007はMI6という英国の秘密情報部のストーリーですが、これに抵抗を持ったという話は聞いたことがありません。

日本企業から情報が筒抜けになっている、という話はよく耳にします。かつては東芝機械ココム違反事件といったものから日本の最新技術が隣国に抜けたケースは多々あります。情報に対する感性はまだ十分ではないでしょう。

技術の進化と共に戦争のスタイルも変わります。ドンパチではなく、一気に相手を陥れるようなことは情報戦、諜報戦で可能になります。ファーウェイ問題とはそれほど繊細な事象である、と考えるべきなのでしょう。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2018年12月19日の記事より転載させていただきました。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑