バロンズ:米株安局面で、何をヘッジとすべきか

2018年12月25日 11:30

バロンズ誌、今週のカバーはベンチャー・キャピタリストのラウンドテーブルを取り上げる。これまで、次のアマゾン、グーグル、マイクロソフトとなりうるベンチャー企業への投資目的でシリコン・バレーに巨額の資金が流入してきた。2013年からの資金流入額は、1,800億ドルと試算されている。こうした資金がウーバー、リフト、エアビーアンドビーなどの成長を支えてきた。

しかし、足元で米株安に直面し金利も上昇する懸念がくすぶるなど、金融環境は変化している。今後、ベンチャー企業投資はどのように変化していくのか?

T・ロウ・プライスのヘンリー・エレンボーゲン最高投資責任者、ウィンスロー・キャピタル・マネジメントのリード・ポートフォリオマネージャーケリー・フリン氏、リンクトインの共同創業者であるリード・ホフマン氏、Yコンビネーター・コンティニュイティ・ファンドのアリ・ロウガニ最高経営責任者、ジェネラル・カタリストのパートナーであるヘマント・テネジャ氏による協議内容は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週のテーマはやはり米株安を掲げる。抄訳は、以下の通り。

今年は、12月21日のNY時間午後5時23分に冬至がやってきた。その頃のウォール・ストリートは金融危機以来の最悪期に入り、ダウは過去最高値から8.36%下落S&P500は6.87%下落ナスダックに至っては弱気相場入りを指す22%安を記録した。12月17日週は、米株相場の時価総額を2.05兆ドル吹き飛ばしたことになる。

ナスダック、ご覧の通りまっさかさまの展開に。
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(出所:Stockcharts)

悪いことは重なるもので、NY時間の20日にマティス国防長官の辞任が報じられたほか、トランプ大統領がつなぎ予算を承認せず22日の午前12時1分から政府機関が閉鎖されてしまった。

もっとも、米株安の引き金を引いたのは米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。市場予想通り25bpの利上げを行い、FF金利誘導目標を2.25〜2.5%ヘ引き上げ、声明では「幾分のさらなる利上げ」が適切との見方を示した。声明文の変更は、ドット・プロットの下方修正の影響を打ち消したと言えよう。2019年は2回の利上げが見込まれ9月時点の3回から修正された。その一方で、パウエルFRB議長は記者会見で資産圧縮を継続する意思をあらためて表明した。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのマイケル・ハートネット氏率いるストラテジスト・チームは、世界株安と社債の下落は、金融政策の引き締めの影響と指摘とし、さらなるリスク資産の下落に警鐘を鳴らす。リスク資産の下落は、常に金融イベントをもたらしてきただけに、今回が例外のケースになるとは言い切れない。

米株安の裏で、20日にクローズ型投資信託(募集期間中のみ購入でき、設定後は償還まで資金の途中追加ができないタイプ、CEF)が直近高値から15%以上も沈み、金融危機以来の急落を演じていた。例えば、いくつかのCEFはIPO時の価格を下回ったため、個人投資家による売りが膨らみ、一段安に。その他の銘柄で言うならば、ジャンク債やシニアローンを束ねていた事情から、売りが殺到した。

しかし、セイバ・キャピタル・マネジメントの創業者であるボーズ・ワインスタイン氏が指摘するように、CEFは”テール・リスク”が発生した場合のヘッジとなりうる。その理由として、CEFの仕組みが変わったことが挙げられよう。2008年当時は、CEFの多くがauction-rate preferred stockを用いていたため実質的に毎週、資金調達しなければならなかったところ、現在では銀行からの信用ラインを使っているため資金調達がより堅実に確保されるようになった。

何より、CEFは償還のために資産を売却する必要がない。セイバ・キャピタル・マネジメントのワインスタイン氏は「6ヵ月後に、今がCEFの買い時だったと振り返るようになるのでは」と予想する。

——ここまで米株安が進むと、名物コラムであってもレビューに終始していてキレがありませんでしたね。足元で悲観ムードが強まるなか、債券王と呼ばれるダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏はFedの利上げに反対しつつ弱気相場入りを宣言。ソロス氏のクォンタム・ファンドの運用者だったことで知られるドゥケイン・ファミリー・オフィス会長兼CEOのスタンリー・ドラッケンミラー氏もWSJ紙に寄稿し米景気減速を理由にFedの利上げと資産圧縮に疑問を投げかけました。ドラッケンミラー氏は9月の段階で「相当な混乱」が起こるまでは利上げを継続すべきと主張していましたが、足元の相場変調を受けて見方を変更したもようです。

著名投資家による悲観的な見解が米株などリスク資産の売りを後押しする一方、この方はマーケットの悲観派に自重するよう呼びかけます。アリアンツの首席経済アドバイザーのモハメド・エラリアン氏で、「労働市場が拡大し、賃金が上昇し、設備投資が確認でき、政府支出が増大する時期に景気後退に陥ることは極めて難しい」と発言。その上で、景気後退入りを予想する悲観的な見解などがまさに景気後退入りを招きかねないと注意を呼びかけていました。果たして、どちらの見方が正しいのか。パウエルFRB議長をはじめとしたFOMC参加者の発言で、明らかになっていくのでしょう。

(カバー写真:Russ Allison Loar/ Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年12月23日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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