デジタルと専制国家 ~ ある新聞記事

AI開発の碼隆科技(マロン・テクノロジー)社は、博士号を持つ研究者が集まり14年に設立した。たとえば磁気共鳴画像装置(MRI)による脳疾患の診断システムが、深圳の病院で既に使われ始めている。

5~6人の医師が読影した診断結果と、AIが特定した腫瘍部位の画像は、ほぼ完全に一致。違うのは判定までにかかった時間だ。電気代だけで働くAIは1.725秒、高給の人間チームは6分だった。医療コストは劇的に下がった。

なぜ開発スピードがこれほど速いのか。同社の国際ビジネス担当に尋ねると、苦笑と答えが返ってきた。「だって、日本や米国では病院から患者のデータなどもらえないでしょう?」

デジタルと専制国家は、残念ながら、相性がよいのだ。対抗する手段は、まだ見当たらない。(日本経済新聞社より)

デジタル社会とは、個人が情報コントロール権を持ち、データを如何に効率的に動かし、時間的、物理的価値を生み出していく社会です。こうした社会を法律の下、つくり上げていかなくてはなりません。それは、法律を厳しくする部分と緩やかにする部分を組み合わせ、立法趣旨を踏まえた上で、グレーの部分を走る勇気とそれを許す度量が試されるのです。

「・・・対抗する手段は、まだ見当たらない」なら、日本が手段を見出せば良いのです。そのために「改正個人情報保護法」、「官民データ活用推進基本法」を世界の先陣を切って作ったのです。残念ながら、過去のやり方を引きずる分野も多く、デジタル社会に振り切れていません。

「デジタルデバイドをどうするのか。デジタルが扱えない人たちを見捨てるのか?」と常に問われます。「それは、良くない。だかたデジタル社会に振り切って、苦手な人をサポートする仕組みをつくれば良い」と答えています。社会保障分野も難しすぎて普通の人にはわからない、だから街には民生委員がいるのです。ならば、デジタル版の民生委員「デジタル民生委員(仮称)」がサポートすれば良いだけです。民生委員という言葉を使うと厚労省に「異議あり」と言われるかもしれませんが・・・。

次の時代に移行することが、持続的発展を遂げる日本になることと同じ意味になるのです。


編集部より:この記事は元内閣府副大臣、前衆議院議員、福田峰之氏のブログ 2018年12月27日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。