「感情が前向きになる人」と「前向きにならない人」の習慣

2018年12月28日 06:00

写真は講演中の樺沢さん

誰でも、マイナスの「苦しい」感情を抱えてしまうことがある。そんな「苦しい」感情を放置すると心も体も不健康になり苦しくなる。実は感情が「前向き」になる習慣がある。この習慣を知るだけでストレスが軽減される。

今回は人生うまくいく人の感情リセット術』(三笠書房)を紹介したい。著者は精神科医であり、累計63万部突破のベストセラー著者、樺沢紫苑さん。本書の「感情リセット術」は、「脳科学」と「心理学」に基づく科学的メソッドで興味深い。

深呼吸を3回する効果

樺沢さんは、心の余裕をつくるために「深呼吸を3回する」「“間”を入れること」などを推奨する。ストレスを感じたときに「深呼吸を3回する」ことで怒りが軽減される。これはまさに即効性の高い「感情リセット術」である。

樺沢さんは、交感神経と副交感神経のはたらきによって理論を説明しているが、これは心理学でも説明が可能である。EQ(Emotional Intelligence Quotient)という理論がある。私たちが望ましい社会生活をおくるには、IQ(頭のよさ)ではなく、EQ(心の知能指数)が重要であることや、成果に影響を及ぼしていることを理論化したものになる。

約20年ほど前の話になる。筆者は、EQJAPANという組織にて、EQ理論提唱者のイェール大学のピーター・サロベイ博士(現イェール大学学長)、ニューハンプシャー大学教授のジョン・メイヤー博士との共同研究をおこなっていた。当時、筆者は企業にサービスを提供し、戦略・研究開発などを統括する立場にあった。

EQ理論のひとつに「6セカンズ」がある。カッとすると、感情(情動)がハイジャックされて、暴言や暴力につながったり、余計な一言を言ってしまうことがある。そのため、カッとなったら6秒間沈黙して、感情を上手くコントロールするというものだ。

樺沢さんの「脳科学理論」は、EQ理論の「6セカンズ」に通じる要素があると考えられる。EQは心理学に分類されるが、脳科学理論との親和性は高い。私たちが望ましい社会生活をおくるには、感情を調整する包括的なコミュニケーション力が必要とされる。「脳科学理論」は非常に有効な手段であることからおすすめできる。

“間”を入れることの効果

コミュニケーションを円滑にするには“間”を入れることが効果的である。例えば講演の場合、話題転換のタイミングで“間”を入れると聞きやすくなる。参加者にとって理解度、満足度も高まり、次に何を話すのか期待も高まっていく。

また、“間”を入れることで「ゆっくり話す」ことが可能になる。樺沢さんは「ゆっくり話す」ことの効果として「怒りのコントロールが可能になる」事例を挙げている。「クレーム対応のとき、ものすごい剣幕で、早口でまくしたててくるという場面があります。『怒り』とは、『緊張』よりも激しい神経の興奮状態ですから『早口』になるのです(樺沢さん)」。

たしかに相手につられて早口になると怒りがこみ上げてキレやすくなる。ここでクレーム対応側かキレてしまうと、クレームがこじれて大変なことになる。このような場合には、「ゆっくり話す」ことを意識しなければいけない。相手の「怒り」にのみ込まれなければ、平常心で対応することができる。

これまでも、「脳科学理論」に関する本は、たくさん出版されている。既刊本にも様々な対処法は書かれているが、根本的な解決法までは書かれていない。感情の正体を理解し、感情をコントロールし、成果をあげる方法。興味深い一冊である。

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

※新刊情報(筆者11冊目の著書)
即効!成果が上がる文章の技術』(明日香出版社)

[本書の評価]★★★★(83点)
評価のレべリング】※標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★  「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★   「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★    「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
星無し  「レベル0!読むに値しない本」50点未満

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尾藤 克之
コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所研究員

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