今年話題にこの二人 政界編

世界の政治を見渡すと今年も話題が多かったと思います。年前半の話題を独占したのが北朝鮮をめぐる展開でした。金正恩委員長は中国訪問や韓国の文大統領との会談を経て6月12日にトランプ大統領とシンガポールで会合が開かれました。

今思えば本当に年の前半の話題で終わったといってよいでしょう。年後半はフォローアップ程度の報道程度となってしまったのは結局、北朝鮮と韓国は難しい国だということをアメリカもようやく理解したからでしょうか?トランプ大統領は年明けの1月か2月に2度目の会談をすると言っていますが、実務ベースで何ら進展もない中でトップ会談は無意味のような気もします。

個人的に気になったのがプーチン大統領の落ち目でしょうか?年金改革の不満から支持率は3割台に急落していますが、極東での知事選連敗を含め、「大統領の賞味期限」のような気がします。同じ落ち目はドイツのメルケル首相も同様でついに党首から降り首相も21年任期で終わりにすると発表しています。「終わりの始まり」ともいえるわけで21年までどうやって求心力を保つのか、こちらも苦しい展開が続きそうです。

もっと苦しいのがフランスのマクロン大統領でついに6週連続のデモでクリスマス休暇明けは再び盛り上がるのではないかと予想されています。かつての韓国の朴大統領の時と似た様相で政権を担うどころではありません。

しかしこの上を行くのが英国のメイ首相でまとまらない議会を相手に時間切れが迫る中、どういうスタンスでEU離脱問題の難局を乗り越えていくのでしょうか?

そんな大荒れの世界の政界の中で「今年話題のこの二人、政界編」、ここは順当にトランプ大統領と習近平国家主席の名前をあげたいと思います。

ホワイトハウス公式サイトより:編集部

トランプ大統領については今更語る必要もないと思います。一年を通じて常に話題を提供し続けました。「トランプ スタイル」が世界の政治家に与えた影響も大きかったと思います。自国中心主義という一種の「ミーイズム」はイタリアやブラジルの政界や選挙にも大きな影響を与えました。オバマ大統領のG20に代表される「皆で渡れば怖くない」から「この橋に何かしかけていないか」という疑心暗鬼の世界を生んだともいえます。

一方の習近平国家主席。3月の全国人民代表大会で絶対的権力を手に入れたはずなのに、8月の北戴河会議あたりから国内不協和音が聞こえ始め、年後半はトランプ大統領の攻めに対して防戦を強いられました。直近のファーウェイ問題はまだこれからの展開ですから予断を許しません。守りに徹するからこそ、日本に対していらない刺激をしないという意味で安倍首相との会談が行われ、日中関係は雪解けとも言われています。

中国政府サイトより:編集部

習国家主席はトランプ氏のように軽はずみな発言をしないし、国家がそのあたりを完全にコントロールしている点において吐露した今の心境など聞くすべもないですが、正直苦しいというのが事実でしょう。12月21日まで開催された経済工作会議では19年に大規模減税、金融緩和などで相当のテコ入れを図ることが決まったようですが、それだけ国内経済の状況が悪いということであります。

もう一人、忘れていないか、と言われそうなのが安倍首相であります。総裁選を乗り切り、いよいよラストスパートに入るわけですが、マラソンで独走するのはいいですが、次の人は誰なのか、ここがちょっと心配であります。首相は難しい案件を年に一つずつこなしていくというイメージがあり、今回は外国人労働者というテーマを形の上では乗り切りました。しかし、いまだ言われるのはアベノミクスの構造改革はどうしたの、という点がおざなりになっています。

憲法改正論議はなかなか進まず、国内経済も1月がプラスなら戦後史上最長の好景気となりますが、国民の実感はどうなのでしょうか?安倍首相は海外でも存在感は示していますが、大国をやり込めるところまでは出来ていません。外から見ているとやや影が薄かった気がします。いや、どの国もあまりに問題を抱えすぎていて大きな問題がなかった日本にむしろ、スポットライトが当たらなかったという方が正解なのかもしれません。

全般に世界の政界は荒れたと思います。それは国民のボイスがより大きくなったという裏返しでもあります。政治家にとって苦しい一年だったのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2018年12月29日の記事より転載させていただきました。