今年のつぶやき…金災・人材・政災

2018年の一文字は「災」だったそうですがこの意味は「自然に起こる悪い事」であります。確かに読売新聞の10大ニュースでは2位に「西日本豪雨」6位に「北海道で震度7」、10位に「大型台風襲来、関空が冠水し孤立」と3つもランク入りしています。しかし、今年は自然に起きる悪いことだけではなく、人災に金災、それに私の造語で「政災」もあったのではないかと思います。総じてみればとにかくいろいろありました。

では今年のつぶやきです。

その1 金災 マネーに見る嘆き、「あぁ、あの時に売っていれば…」

9月頃に「恐怖の10月がやってくる!」と思って構えていたらやっぱりと思ったものの月末にはどうにか落ち着きます。「よかったね、耐え忍んだね」という安どの声もつかの間、そこからググっと下がってクリスマス頃には真っ赤なサンタならぬ赤字だらけの株価ボードのプレゼント。(海外では下落が赤、上昇は青です。日本は逆張りが好きなせいか、色もさかさまです!)

下がったのは株だけではなく、ビットコインは3000ドル台で年越しになりそうですが、あの2万ドルをつけた狂乱はどこへ、であります。そんな中、最も痛手を負ったのが中国の株式市場。下落は25%、失った時価総額は255兆円、信用取引は過去ピークの3分の1、投資信託の解約は急増…と目も当てられない状況であります。オリンピック10年目の悲劇と私は何度も言い続けてきました。今年は北京五輪から10年目だったのです。しかし、中国のこの惨劇は来年以降に持ち越しそうです。

世界の為替トレーダーにも知られる「ミセスワタナベ」も最近、鳴りを潜めているようです。渡辺夫人の話ではなく、日本人の個人FX(為替)トレーダーの総称で主婦やサラリーマンの小口取引を指しますが、取引手口が割と皆同じ通貨ペアで同じ方向に走る傾向があることから為替相場に影響力を及ぼすとされます。そのミセスワタナベも日経によると今年は「円一強」で負け越し。「あーあ」という嘆きの声が聞こえてきそうです。

その2 人災 あの人が、えー、この人も… いろいろありました

日大タックル問題に貴乃花親方をめぐる一連の騒動、芸能界ではTOKIOの山口達也氏、小室哲哉氏、吉澤ひとみ氏、そしてある意味、カルロスゴーン氏も人災であります。ここでいう「人災」とは「災難を被った人」という意味で一般でいう人災とは違いますので念のため。

もっと挙げるとビジネス系では仮想通貨流出事件を起こしたコインチェックの和田晃一良クンや1月の成人式に晴れ着がない騒動を起こした「はれのひ」社長の篠崎洋一郎氏といった面々も社会面を大賑わいさせた話として思い起こせます。

こう見ると災いとは魔が差したからこうなるのか、一瞬の隙だったのか、それともいつまでも騙せないのか、はたまたここまで暴かれるのか、というディスクロージャー社会の現実を思い知らされたということでしょうか?とにかく、悪さはまずできません。

監視カメラの時代と言われます。私にもプライバシーがある、なんて昔の話になりつつあるのかもしれません。あと数年もすればあなたがいつどこで何をしているのか、見る人が見れば全部筒抜けになるのかもしれません。これでは「1984年」の作者、ジョージ オーウェルも小説が現実になって、Oh well…って言っているのでしょうか?

その3 政災 民の声はより激しく、それを治める者が強いられる防戦

官邸Facebook:編集部

政治家というのは民の上に立つリーダーであり、その政治家の中からさらに選ばれた人が国家なり、自治体を運営していく責任者として頂点に立ちます。

ところがそのトップに立つ者の判断が芳しくないと実に厳しい治政を強いられます。フランスのマクロン大統領がなぜ、これほど苦戦するのか、これぞ理想と現実のギャップであります。国民は従順ではない、と今さら認識したことでしょう。どんなに優れた政治家でも国民に増税という鞭を打つ者は支持率を奈落の底に突き落とす大反逆があると考えるべきなのでしょう。同じことは年金改革をしたプーチン大統領も全く同じです。

それを横目で見ていたのか、安倍首相は来年の消費税増税に向け一回の鞭に対して飴玉を4つも5つも大奉仕するという配慮を見せています。トランプ大統領も税制改革で支持率はアップしました。こう考えると国民とは現金なもの、ということなのでしょう。

国家元首が選挙民の顔色を見て政治をしなくてはいけないことがより鮮明となれば鞭が打ちにくくなり、よりポピュリズムに走ることになります。これを政治家の災いとせず、なんと申しましょうか?

後記

災いばかりがあった一年ではありません。10大ニュースにはもう一つ「喜」という字を当てはめたくなる素晴らしいスポーツの結果がありました。

1位が「平昌五輪で日本は冬季最多13メダル。フィギュア・羽生結弦は連覇」、4位が「テニス・大坂なおみが全米オープン優勝、四大大会で日本人初」、9位が「大谷翔平、メジャー新人王に」(読売新聞より)であります。

日本人はどちらかと言うと悪い印象が良い印象に勝る傾向があり、トップ10に「災」が3つ、「喜」が3つでも今年の漢字は「災」になります。間違って「喜」を選んだ日には「お前は『気』がふれたか」と言われるのが落ちでしょう。

近年で比較的前向きの「一字」は2013年の「輪」。この年の背景は自民党復活、安倍政権が本格稼働したその年であります。2019年は明るく楽しい「一字」を期待しましょう。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2018年12月30日の記事より転載させていただきました。