どうなる、今年の金融市場

「金融市場の話なんてつまらない」と思わないでください。株がどうの、為替がどうの、と言われても私、株も為替もやらないから、と言ってしまえばそれまで。ところが皆さんが買う輸入品の価格や電気料金にも影響しますし、原油価格が上がれば燃料サーチャージなるものが航空機の代金に上乗せされます。儲ける、損したという以前に我々の生活に案外密接につながりがあるものとしてお考えいただければと思います。それと株の上下運動は皆様のメンタルにも密接に結びつきます。

そんな金融市場の動向のキーはやはり、アメリカの動きになります。ここには二つあり、金融政策をつかさどるFRBが誘導する金利水準とトランプ政権が発する外交政策に依るところが大きいと感じます。通常、金融政策の対比は財政政策であります。一部政府機関が財政問題でストップしている現在、当然一定の影響力がありますが、これは議会の決め事の話だと割り切ってしまえば、個人的にはその発信力と行使力から外交政策がより強く影響すると考えています。

まず、アメリカの金融政策ですが、12月のFOMCからすると19年の利上げは3回から2回以下になったと考えてよさそうです。とすれば目先、3月の利上げがあるかどうか、ということになります。パウエル議長はデータを重視しますが、データによっては2-3か月の遅効性があるものもあります。

ご承知の通り、株式市場に異変が起きたのは10月ですから12月のFOMCの際にはデータは市場が変化を起こす直前か、まだシリアスになっていなかった時の数字も一部反映された可能性はあります。私が市場とFRBの温度差があると指摘したのはそういう意味でありました。

そんな中、次回の1月29-30日、その次の3月19-20日のFOMCが注目されますが、1月は会議後の議長への記者会見がありません。また2月は会議そのものがないことから途中にあるであろうFRBの議長や理事の発言と市場の動向が3月の利上げの可否を占うことになります。外交という観点では3月1日が交渉期限の米中貿易戦争の行方を待たないと予想も難しいとみています。

更に3月29日までにEUを離脱予定の英国の国内状況もあらかた見えてきますので今年の1-3月は荒れる展開と見ています。その場合、マネーは安全資産への逃避が進みます。1月2日のブログに書いたように日本は隔離されていると言えるほど世界のドタバタと距離感があり、当然ながら日本円は逃避資産として都合がよいのであります。また円高傾向は海外投資家が為替利益を上乗せできることもあり、私はトレンドとして105-100円の水準があってもおかしくないとみています。

同様に金もじわっと買われており、いつの間にか6カ月ぶりの高値水準で1300ドルに手が届くところまで来ています。専門家は更に買われるとコメントしており、その動きが注目されます。基本的にアメリカ金利の上昇の頭打ちが意識されれば金に買い安心感が出ますのでベクトルとしては上になります。

原油は需給というより政治と外交が決める要素も大きいため、先行きを読みにくくしています。相場の転機が10月で株式の下落と同様の動きとなり、その間、カショギ氏問題やOPECでの減産維持決定がありました。アメリカはシェールで対抗していますが、価格が下がりアメリカのリグ数統計でもあまり増大は見られません。また中国が内需復興を12月に決定していることから原油の需要がさらに下落するのも考えにくい気がします。

最後に株式ですが、1月に入ったので機関投資家やファンドが動かねばならぬところにあります。が、多くのファンドが過大な損失を被った2018年が過ぎたばかりで心晴れぬ、というところではないかと思います。しばし下値を探りながらも年後半にかけてある程度の回復というシナリオを想定しています。アップルショックのことは日を改めて書かせて頂きます。

日本株は今は安すぎですが、為替が円高に振れれば否応なしに頭を押さえることになりそうです。

春はもう少し先、ということでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年1月4日の記事より転載させていただきました。