教科書が読めない子どもたち

2019年01月06日 11:30

AIの研究の過程からわかったこと

新井紀子さんは、東ロボくんという東京大学の入学試験に合格するAIを開発していましたが、その研究の過程で、AIによる知的処理に、限界を確信したそうです。

その著作「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」によると、

・現在のAI研究の延長では、シンギュラリティはこない
・けれども、現在のAI技術でも勤労者の半数の仕事(ホワイトカラーの仕事)は代替可能

ということを述べています。

そして、

・AIは「意味が分からない」ので、文意などを正確に読み取ることが不可能
・ただし、日本の中高生の読解力は危機的状況で、多くが「教科書も読めない」状態にあり、その程度の理解なら、現在のAIもどきでも十分代替可能

と危機感をもっています。

文章が読めるけれど理解できない子供たち

以前も述べたように、学校教育における国語科の授業では、読解など教えていません。その教材を「どのように味わうのが正解か」という道徳的価値観の押しつけになってしまっています。

個人的には、どんなに留年させてでも、小学校レベル(できれば中学校レベル)の文章読解や算術ができるようにすれば、将来職業訓練を受けて、自立するには十分だと思っていますが。じっさいに高度な学力が必要とされる仕事はそうそう多くはありませんから(現在のホワイトカラーの事務仕事は、AIもどきで十分だそうです)。

入学できるからといって、ヘタに名もなき私立文系などに進学してしまうと、お金も時間もたいへんな浪費になってしまいます。とくに日本は年齢を気にするので、社会に出て職業訓練をする時期が、後ろ倒しになることは、とても致命的だと思います。

この著作は、「現在の」中高生は論理的に教科書の文章も読めないと警鐘を鳴らしていますが、一方で、現在エリートと呼ばれる社会人にもすでに読解力がないと指摘しています。そこは、少し矛盾を感じます。

AIに代替されない能力とは

けれども、AIに代替されない能力をつけるのが、学校の本務だと思うのです。けれども、「これからの教育はアクティブラーニングだ」とか浮かれて、中途半端な議論ごっこを授業中にさせて、正確な文意の読み取りなど二の次、三の次になっている現状の学校教育には、子供たちを大量の失業者予備軍にして、文科省の自分たちの子弟をよい仕事につけたいという野望があるのでしょうか、ね。

中沢 良平

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
新井 紀子
東洋経済新報社
2018-02-02
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