バロンズ:自社株買いの縮小、米株安からの回復を抑制も

2019年01月07日 06:00

バロンズ誌、新年早々は最良のインカム投資を取り上げる。米株相場をはじめ市場のボラティリティは年末以降、急騰した状況が続くなかで、どこに投資すべきなのか。バロンズ誌はマスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)、ジャンク債、欧州配当株・ファンド、米国配当株・ファンド、優先株、不動産投資信託(REITs)、通信株、米地方債、 公益株、投資適格級の債券、米国債——の11セクターからそれぞれ確かなリターンを達成できそうな商品を紹介する。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが注目するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は米株相場を掲げる。いつものランダル・フォーサイス氏ではなく、ヴィト・ラカネリ氏による新年最初の同コラムの抄訳は、以下の通り。

過去20年間から一転、今後20年は米株相場の好機に—It’s Been a Rough 20 Years for Stocks. The Next 20 Should Be a Lot Better.

米12月雇用統計は、4日のS&P500を3.4%押し上げた。とはいえ、米株相場は年始の2日間で2000年以来で最悪のスタートを切った。2017年の22%高、2018年9月までの米株高を踏まえれば、雲泥の差だ。

とはいえ、米株相場向こう10〜20年に上昇する公算が大きい。2018年までの20年間で、S&P500の年複利成長率は5.52%だった。投資家は、過去20年において米株は強気相場を謳歌していたように感じているかもしれない。自社株買いによる押し上げ効果を踏まえれば、尚更だ。しかし、データトレック・リサーチのニコラス・コラス共同創業者によれば「過去20年間の年複利成長率は、世界恐慌以来で最低」に過ぎない。1929年以降、20年間の年複利成長率の平均は10.7%だった。2018年までの伸びが限定的だった背景は、2000年から弱気相場で35%以上のマイナスとなったことが大きい。2018年までの過去20年間が例外的な弱いリターンだったとすれば、向こう20年はこれを上回るパフォーマンスが期待できる。

S&P500のリターン、1970年以降の平均は11.6%高なるも、2018年は4.4%安に。

作成:My Big Apple NY

過去20年間の低リターンは、パッシブ投資と上場投資信託(ETF)を生み出し、手数料を押し下げると共に投資の自動化が広がりをみせた。機関投資家、年金、ソブリン・ファンドなどは7〜10%のリターンの達成を狙い、ベンチャー投資に手を出すなどより大きなリスクを取るようになったものだ。

これまで優良な投資先とされてきたアマゾン、アルファベット、アップルなどの時価総額が、向こう10年で2倍になると想像し難い。長期的なリターンを遂げる上で、市場は新たな、そして既存の市場を破壊するような優良株が必要になって来るだろう。幸い、ウーバー、リフト、エアビーアンドビーなど、ディスラプティブな企業が上場する見通しだ。

2018年まで、米株高は自社株買いによって演出されてきたといっても過言ではなく、バロンズ誌でも度々取り上げてきた。2011年初めに自社株買いが金融危機以前の水準に回復してから、自社株買い総額は4兆ドルに上り、S&P500の時価総額増加分のである12.5兆ドルのうち3分の1を占める。自社株買いのおかげで、株価収益率(PER)も上昇し、2011年以降で企業利益が23%増だった一方で1株利益は67%もの大幅増を遂げてきた。

それでは、企業が自社株買いの規模を縮小すれば、どうなるのだろう?米株は9月20日からの14%下落しており、依然として潤沢な現金を有する企業は自社株買いを推進してもおかしくない。しかし、企業幹部の決定は遅きに失する場合が多い。また、景気減速局面に備え、現金を確保したいと考える可能性がある。

自社株買いの資金調達先として重宝された社債の発行高は、2018年に21%減少した。投資家は信用市場のバブルから漸く目覚めつつあると言えよう。バブルはいずれ、崩壊するものだ。


タイトルの割に悲観的な見方が色濃いコラムでしたが、執筆者は本コラムで20年間在籍していたバロンズ誌を卒業するだけに、強気一本で筆を進められなかったかもしれません。いずれにしても、自社株買いの規模縮小は、社債発行高の減少を踏まえれば大いに起こり得るのではないでしょうか。

ただ、ウォール街のヨーダことブラックストーンのバイロン・ウィーン副会長は米株を中心に楽観的であるように、米株に一筋の希望の光りが差してきたことも事実。Fedが2018年12月FOMC時点から利上げに慎重となり景気を下支えすれば、2年連続のマイナス・リターンを回避できる可能性を残します。

(カバー写真:herval/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年1月6日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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