経営のプロが解説!ゴーン氏の報酬は妥当?名経営者とは?

2019年01月07日 06:00

写真は藤井正隆さん

カルロスゴーン元日産会長が逮捕され、さらに、西川現社長にも一部ではあるが刑事責任を指摘する意見がある。広く資金を集めて、未上場企業に比べても透明性を求められる日本を代表する上場企業として、ガバナンスに対する信頼が失墜している。

今回は、『「いい会社」をつくった名経営者の言葉』(商業界)を紹介したい。著者は藤井正隆さん。「人を大切にする経営学会」理事、組織人事コンサルティングを展開する「(株)イマージョン」を経営している。監修は、「人を大切にする経営学会」会長、法政大学大学院政策創造研究科元教授、坂本光司さん。

経営者の評価と報酬について

藤井さんは、海外では、経営者の人材マーケットと従業員の労働市場が明確に分離しており、経営者の所得水準と労働市場の所得水準では大きな乖離があると解説する。ビジネス・ウィーク誌の調査では、アメリカのCEOの平均報酬は1980年にはブルー・カラー従業員の平均給与の42倍、1990年は同85倍、2000年には531倍としている。

一方、日本における経営者候補は社員であった。内部昇格で経営者になることが通常であったため、エグゼクティブの人材市場は欧米に比べると未発達であると言われている。

「近年この市場が成長し、ローソンの新浪氏がサントリーに、マクドナルドの原田氏がベネッセにといったようなことが起こっています。中小企業でも後継者問題から、経営専門家に経営をゆだねるケースも出てきました。」(藤井さん)

「現在、投資ファンドの出現、M&Aの加速、事業継承・後継者問題、グローバルにビジネス展開ができる人材へのニーズの増大等を背景に今後もこの市場は、人材要件の明確化が進み、成長することが予想されています。経営環境のグローバル化により、日本の経営者人材マーケットの成長が欧米に遅れて到来すると考えることができます。」(同)

現在でも、特にグローバル化対応が求められるような日本の大企業においては社内から適切な経営人材を調達できないようなケースも出現しており、大企業向けの経営者人材マーケットが今後整備されていくことも考えられる。

日本における経営者報酬は上昇している

「カルロスゴーンにしてみれば、他のグローバル企業に比べて、10億円は非常に低く感じて、今回のような虚偽記載の原因になったことは充分に想像できます。また、トヨタ自動車の豊田章男社長の年収が3億円2千万と言われ、カルロスゴーンの10億円と比較して、ゴーン叩きの材料になっています。」(藤井さん)

「豊田章男社長をはじめとする自社株を持っている経営者は、株の配当を得ています。豊田章男社長の持ち分比率でいえば、3億2千万円の役員報酬に加え、約8億円の株の配当があり、併せて11億2千万円となり、カルロスゴーンと変わりません。また、東洋経済によると、ソニーの前平井社長の報酬は、約27億円になり、確実に、日本の上場企業の報酬もアメリカ同様に上がってきていることがわかります。」(同)

藤井さんは、経営者の評価する際は、負の部分にもフォーカスしなければいけないと主張する。その上で、経営者の評価を大きく変える必要があると。

「有名経営者は、マスコミへの露出も多く、メディアにも取り上げられます。本当に、その経営者の評価が正しいか考えなければいけません。カルロスゴーンやソニー平井氏が業績を回復した点については評価できます。一方、その回復がリストラや資産売却によるものであれば、負の側面も併せて評価しなければいけません。」(藤井さん)

日本では、99.7%が中小企業。そう考えれば、中小企業のなかで「いい会社」と言われる優良企業の経営者のほうが、学べることが多いのではと考えることもできる。

本書で取上げている経営者とは

これまでも名経営者に関する本は世に出ており、誰でも知っている経営者の言葉は心に響くものがある。しかし、小さな会社であったとしても、命がけで素晴らしい経営を実践している経営者もいる。それは、有名企業の経営者に勝るとも劣らない。むしろ、印象に残るものが数多くあり、藤井さん自身が心を打たれたと解説する。

「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」。受賞企業をはじめとする「いい会社」と言われる企業の31人の経営者が試行錯誤の苦労の末に気づいた大切なこととはなにか。本書は、厳しい環境のなか頑張る中小企業にとっての応援歌である。

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

※新刊情報(筆者11冊目の著書)
即効!成果が上がる文章の技術』(明日香出版社)

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尾藤 克之
コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所研究員

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