スルガ銀行の苦境:地銀が経営悪化した真の要因とは?

2019年01月15日 06:00

スルガ銀救った「預金支援」 迫る銀行廃業時代:日本経済新聞 
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「スルガ銀行首脳は危機感を募らせていた。18年4月~9月気に減った預金は6737億円で、全預金の16%。預金のほとんどを融資に回し、換金可能な有価証券は手元にわずか」

とある。預金が大量に引き降ろされるとき、融資を貸しはがして預金返済の原資にする時間の余裕はない。すぐに換金可能な有価証券がなければ資金繰り倒産の危機となってしまうのだ。

Wikipedia:編集部

国も同じ。年金や公務員給料を払う時、現金が足りないからといって地方貸付などの金融資産を現金支払いの原資にする時間的余裕はない。バランスシート分析で倒産の可能性を語る(特に簿価で)手法は民間では前世紀の遺物だ。

ちなみにスルガ銀行等地域銀行の経営が悪化している理由を、私が国会で聞いたとき、黒田日銀総裁は「本業である貸出業務における人口や企業数の減少といった構造的要因と、低金利環境の長期化である」とビジネスモデルと低金利環境のせいにしたが、そんなことはない。低金利環境であろうと長短金利差が十分あれば銀行はいくらでも収益を上げられる。

「構造的要因はこの2~3年で急速に始まった話ではない、マイナス金利のせい」と言う識者もいるが、そうでもない。マイナス金利が適用されている日銀当座預金は全体のたった6%でしかないからだ。

さらには2018年5月17日付の日本経済新聞には

「日銀の異次元緩和が始まる直前の2013年3月期と比較すると、2018年3月期の決算で三菱UFJ銀行は61%、三井住友銀は57%、みずほ銀は32%まで低下した。みずほ銀行単体の業務純益この2年で半減し、3000億円を割り込んだ」

とある。2013年3月期と比べて金融機関の減益が始まったわけだが、マイナス金利政策が発動されたのは3年後の2016年1月からだ。マイナス金利政策が原因なら2016年までは減益が始まらなかったはずだ。

地域金融の経営悪化は異次元緩和のせいだ。異次元緩和で長期金利が急低下し、銀行収益の根幹である長短金利差が無くなってしまったからだ。異次元緩和とは正式には「異次元の質的量的緩和」と言うが、「質的」とは日銀が今までほとんど買っていなかった長期債を爆買いすることだ。爆買いすれば長期債の価格は上がる(=長期金利は下がる)。結果、長短金利差が無くなったのだ。

地域銀行の体力がどこまで持つのか?

持たなくなったからと言って、異次元緩和をやめると今度は政府の資金繰り倒産の危機だ。事態はますます悪化している。Fasten the seat belt だと思う。


編集部より:この記事は、経済評論家、参議院議員の藤巻健史氏(比例、日本維新の会)のFacebook 2019年1月14日の記事を転載させていただきました。転載を快諾された藤巻氏に心より御礼申し上げます。

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藤巻 健史
経済評論家、参議院議員(比例、日本維新の会)

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