心理学的働き方改革!マッチング改革で仕事に馴染もう

2019年は元号が新しくなる年です。あなた自身も新しく、より素敵になれたら最高ですね。中でも最もより良くしたいのはお仕事の環境ですよね。仕事は多くの人にとって人生の中で最も多くの時間を費やすもの…。ここがより良くならないと,人生もより良くなりません。特にお勤め先に馴染めないとお悩みの方は深刻ですよね。働き方改革、2019年はさらにより良くしたいものです。

まずは労働時間の改革から

2018年は政府主導でまずは労働時間の短縮や休みの取りやすさなどの改革が推進されてきました。時間の管理は生産性を高める第一歩なので,働き方改革の最初のステップとしては順当なものだと思われます。時間の効率的な使い方は意外と難しいものなのですが,その意識が職場に定着するだけでも意味があります。あなたの職場には時間を上手に使う意識は定着しましたか?

次はマッチング改革を!

次に目指したいのは,仕事とあなた自身の人生(キャリア)のマッチングですね。突然ですが、あなたの職場は居心地がいいですか?勤労者の幸福感や人生の満足度は職場の居心地の良さや働きやすさには何かと左右されます。職場の環境をより良くして,気持ちよく働きたいですよね。

職業指導運動の父と言われるパーソンズは「丸い針は丸い穴に」をキャッチコピーとして,個人の適性や志向性と職業のマッチングの重要性を説きました。

たとえば,四角い針が足りないから,あるいは取り敢えず四角い穴を塞ぐと生産性が上がりそうだから…という理由で丸い針を無理に四角い穴にねじ込むとどうなるでしょう。針も穴も傷んでしまいますよね。

日本的なマッチングの無視が生産性低下の一因かもしれない

日本では高度成長期を通じて多少無理をしてでも勤め先の組織に協力する生き方が推奨される時代が続いていました。本来は丸い人が「無理をしてでも四角くなろう」とする価値観がありました。しかし,この価値観だと,個人にも組織にも無理が溜まって,長く続ける中でお互いに消耗しやすくなります。

日本の生産性は著しく低いと長く言われています。私には個人が無理をしてでも組織に協力する生き方,働き方が生産性を下げているようにも見えます。もちろん,仕事ですから多少の無理はやむを得ませんし,個人の個性が100%活かされる仕事もありません。ですが,仕事に対して「ワクワク」できる要素が見いだせないまま,長く働き続けるのは生産性における障害の一つだと考えられます。マッチングを考慮して、働き方を改革する必要があるのです。

マッチングの3つの次元

では,マッチングはどのように考えれば良いのでしょうか。筆者はみなさまにより幸せに働いていただけるように,マッチングについて考えられる限りの検討を重ねてきました。その中でポイントになると考えられる3つの次元が見えてきました(杉山・馬場・原田・松本、2018)

一つはビジネスモデルのマッチングです。あらゆるビジネスにはお金と人の回転が伴います。お金も人もスムーズに回転しないビジネスモデルは永続できません。ビジネスモデルとは何を原動力に,どのような仕組みで回転させるかの設計図のようなものです。この設計図に共感できるかどうか,言い換えれば自分自身が回されていて心地よいかどうかが問題です。

二つ目は企業風土のマッチングです。風土とはイキイキ,ワクワク,シブシブ…といった組織の雰囲気です。ビジネスモデルと関連したものではありますが,同じビジネスモデルでも企業毎に雰囲気が違う場合もあります。風土に馴染めないと出勤が憂鬱になったり,気分的に参ったりします。

三つ目は業界文化とのマッチングです。文化とは価値観であり,何が評価されて,何が評価されないのかといった善悪の判断基準でもあります。行動力を評価する文化,ネットワークや長い付き合いを評価する文化…など,何が価値を持って扱われるかは業界ごとに一定の文化があります。

筆者の印象ですが,ビジネスモデル,企業風土,業界文化,この3つの次元でマッチングを考えると概ね「ハズレ」がないようです。逆に言えば、この3次元が合わないと、マッチングの不全が起こって仕事がつまらなくなったり、苦しくなったりするようです。3次元のそれぞれの詳細はまた別記事でご紹介したいと思いますが,2019年はマッチングを考慮した働き方改革で,より素敵な日々を目指しましょう。

杉山崇
神奈川大学人間科学部教授・心理相談センター所長

心理学者・心理マネジメント評論家、1級キャリア・コンサルティング技能士、臨床心理士
脳科学と融合した次世代型サイコセラピーの研究やTV・雑誌などマスメディアでの心理学解説で知られる

最適なマッチングを目指して働き方とキャリアをデザインしたいなら…

リーダーシップ,組織運営,マーケティング,など心理マネジメントを学ぶなら…