貿易戦争?覇権争い?合意できるか、米中貿易摩擦

一昨日は、イギリスとEUが合意できないとどうなるのか?という記事を書きました。
今日は、『果たして合意できるのか』というトピックについて書きたいと思います。

それは一体何か言うと米中貿易戦争です。
アメリカと中国は現在、来月2月末をタイムリミットとして経済協議を行なっています。
それまでにもし、合意にいたら買った場合、アメリカは中国に対してさらに関税を掛けようとしています。ここにきて、この経済協議に関して楽観論が広がっています。

それは、先週末に中国がアメリカからの輸入を1兆ドル以上増やして2024年にはアメリカに対する貿易黒字をゼロにする方針を検討していると報道されたからです。
1兆ドルということは、日本円にして110兆円以上の大規模な方針ですが、これが実現に至れば相当すごい話だと思います。

しかし、あと5年で実現可能なのかどうかと懐疑的な意見が多いですし、実際問題として、何を輸入するのか、私も疑問に思います。

例えば、中国は大豆をアメリカから大量に輸入してきましたが、大豆の輸入を増やしたとしてもそんな金額には至りません。はたまた、中国で製造しているiPhoneの生産拠点をアメリカに移す話はあり得ないし、実現させるにしてもたった5年では出来ないと思います。

何れにせよ、中国が相当焦っているのは事実でしょう。
とは言っても、中国が対抗措置としてアメリカにさらなる関税を描ける事はもはやできないということも私、『【米中”貿易戦争”第3弾】どこまで続く?もうそろそろ限界か?(2018.9.19)』で書きました。実際に中国経済そのものにも限りが出てきています。

先ごろ発表された中国の貿易統計によると、2018年12月の中国の輸出額は4%ダウン・輸出額は8%ダウン(前年同月比)となっています。何が輸出で減ったのかと言うと、31%という大幅な減り方をした携帯電話、パソコン、衣類、繊維、家具など、いずれもアメリカが関税を引き上げたものです。

さらに、中国での昨年1年間の新車販売台数は前年比2. 8%減でした。
右肩上がりだった経済成長のまさに象徴といえる新車販売台数が、初めてストップした状況ですが、自動車関連の減税が前年に打ち切られたことによる駆け込み需要の反動も一因ですが、やはり米中貿易戦争に対する懸念で消費意欲が下がっていることも大きな要因です。

そういう意味で、経済が命の中国が、アメリカに妥協して合意ができるか?
そして、世界がようやく治ったと安堵するのか?

これは、一連の出来事が本当に米中貿易戦争なのか、それとも米中覇権争いなのかによって決まってくると思います。

先ほど中国が対米貿易黒字をゼロにするという情報が報道されたと書きましたが、一連の出来事が、もし貿易戦争ならば合意で落ち着くでしょう。しかし『【2019年 謹賀新年】平成最後の年も中チャンで始めよう。(2019.1.1)』で書いたように、米中覇権争いだったら、合意できるでしょうか。

例えば、中国の国営企業に対する補助金問題や外国企業などの知的財産に対する強制開示、秀月問題、そして、『【ファーウェイショック】私の情報はどれだけ上海にあるのか?(2018.12.18 )』で書いた、5G通信問題など現に起こっている様々な問題を考慮すると、私は一連の出来事を覇権争いだと考えています。ですから、今回合意しなくても驚かないし、合意したとしてもまた別のトピックで争いが起きると、私は思っています。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年1月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。