無線LANの高速接続が可能に

僕が会長を務めてきたWi-Fils推進協議会が今日付で解散した。この協議会は、無線LANの利用開始時における端末認証手続きを高速化する新技術の国際標準化と普及を目指して設立された。

標準化の舞台では友人の真野浩氏が長年にわたり議長を務めてきた。2016年に完成した標準はIEEE802.11aiと呼ばれている。

国際標準化には各国政府も参加する公的活動と民間主体のフォーラム活動がある。総務省はITU(国際電気通信連合)における公的活動に関わってきたが、2010年前後からフォーラム活動支援にも乗り出した。その一つがIEEE802.11aiの標準化で、見事に結実した。

米国の調査会社7SIGNALは、802.11aiについてWhite Paper(白書)を公表している。その中には、協議会が2013年に京都大学で実験した結果も図表8として掲載されている。今までの接続手順WPAに比較して、高速での接続が可能になった様子が読み取れる。

2018年にQualcomm、KDDI、Ruckusとトヨタは渋谷駅周辺で接続試験を実施した。その結果、接続時間は10倍速くなり、無線周波数の利用効率も30%向上したと、白書は説明する。

IEEE802.11aiは無線LANのアクセスポイントや個々人が持つスマートフォンに装備されつつある。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際には、これを利用して多様な情報受発信が可能になることを期待したい。