体力勝負のスマホ決済戦争とネット広告

2019年02月06日 14:00

ペイペイが100億円キャンペーン第二弾を来週から始めるそうです。ペイペイはソフトバンクとヤフーが組んだスマホQRコード決済で前回の大人気ぶり、そして数々の問題の指摘を受けて今回は改善版として再び市場に投入するとのことです。

このニュースに接して「孫正義氏らしい」と思わず、笑ってしまいました。孫氏といえば昔、ADSLのモデムを無料で大量配布して世の中の風向きを変えたことを覚えていらっしゃる方も多いでしょう。

第2弾100億円キャンペーン (PayPay株式会社ウェブサイトから):編集部

第2弾100億円キャンペーン (PayPay株式会社ウェブサイトから):編集部

では孫氏のその発想はどこから来たのか、といえば孫氏のお父様にその源を見ることができるようです。数年前の日経ビジネスに孫氏の弟の孫泰蔵氏のインタビュー記事があります。それによると孫氏のお父様が古びた貸家を借りて当時は珍しいコーヒー店を開こうとしたところ、コーヒー豆屋から「そんなところで売れるわけない」と失笑され、くやしさのあまり、大量にコーヒー豆を買い付けたというのです。

次にお父様は無料券をばらまきます。さらに来店してくれた方にも無料券をばらまき、徐々にコーヒーだけではなく、ほかのものも売れるようになり繁盛店になりました、という物語のようなストーリーを描いた父の背中を見てきたのでしょう。

こう見ると無料戦術やばらまき戦術というのは孫正義のお家芸ともいえそうです。

私はそれはそれで結構な攻め方だと思います。この数年、降ってわいたような決済ビジネス。そしてその種類もクレジットカード、デビットカード、電子マネー、プリペイド決済カード、そして今回のスマホ決済ともうわけが分からなくなってきています。多くの方は財布に現金、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーの4種類を既にお持ちで支払いについては皆さん、それなりのルールを設定していると思います。

例えばポイントを貯めるためにここはこれで支払い、といった使い分けをしている方も多いでしょう。本来、お財布を持たなくてもよい時代の到来を期待させるのが決済サービスでした。事実、北米では現金を持ち歩く人は大変少なくなってきています。私も最近は現金は1万円ほど銀行で下せばひと月持つほどになっています。理由はほとんどをクレジットカード決済するからです。

私はデビットカードはまず使いません。家計の管理が面倒くさいからです。クレジットカード1本なら毎月のステートメントを見て家計簿代わりにもなるのです。また、クレジットカードも2枚持っていますが、基本は1枚のみしか使いません。もう1枚は緊急用です。

こう見ると日本の決済戦争はある意味、国民を惑わせ、より煩雑にしつつあるともいえるわけで、できればさっさと淘汰されてその決済手段とサービス提供会社が数社程度になってもらった方が助かるという面もあります。

その中で孫氏がお得意のばらまき攻勢でQR決済を世の主流とするならそれはそれで結構ですが、個人的にはクレジットカードを淘汰できない気がします。日本の現在の決済戦争は多くが小口決済。レストランやコンビニでどう払うか、そしてそれが混雑や人手をどう減らすか、という売り手と買い手の双方のメリットを強調します。ところが大口決済となるとやはりクレジットに分が上がると思います。

私はカナダで会社の経費をカードで決済することも多く、一回で100万、150万円ぐらいの決済も時折ありますし、お客様からの賃料などの決済はほぼすべてカード決済で一件百数十万円単位になります。これはクレジットカードの信用調査とクレジットヒストリーで与信枠が大きくなっていることで可能になるのです。今のスマホ決済ではこの金額レベルの与信ができないでしょう。また日本では一部のクレジットカードは簡単に発行される反面、与信枠が10万円といった極めて少額になっている人も多く、そのあたりが決済システムの本当の課題になってくるとみています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年2月6日の記事より転載させていただきました。

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