密約暴露、美人閣僚不正報酬?…ゴーン事件余波

2019年02月08日 06:00

日産サイトより:編集部

カルロス・ゴーンは良くも悪くも世界のあちこちを手玉にとって大がかりなビジネスをやっていたらしい。さすがアラブ人だというニュースがいくつか入っている。しかし、間違ってはいけないのは、ゴーンが追及されることが、ルノーやフランス側の日産に対する風圧を弱める材料にはまったくならないことだ。

ゴーンの不正は一緒に調べる。そして、それを通じて、バラバラの経営体制がこういう問題も引き起こしたので、経営統合が不可欠ということになっていくのだろう。

①ルノーは独自にルノー社内でのゴーンの不正について調べていたが、自分のベルサイユ宮殿での結婚式にルノーの資金を不正に利用した可能性があるという。

フランス紙「フィガロ」は、ルノーは2016年に社会貢献活動の一環としてベルサイユ宮殿に資金提供をしていたが、ゴーンは同年、ベルサイユの離宮であるグラン・トリアノン宮(ルイ15世が愛の園を営んだ。最近ではプーチンが泊まったりしている)で結婚披露宴を行ったが、費用の一部をベルサイユ宮殿側に負担させたのでないかということだ。フランスでは多額の寄付をするとパーティーなどに貸してくれる。岡田茂時代の三越がベルサイユ宮殿で顧客を集めて晩餐会をしたこともある。

これは対価ということでないので少しややこしいが、明らかにベルサイユ側で負担した費用の中に、ルノーからした寄付をキックバックしたといわざるをえない灰色部分があるということか。

ダチ氏(公式ツイッターより:編集部)

②アムステルダムに設立された「ルノー日産BV」が不正の温床ともいわれているが、そのなかで、フランスのダチ元法相に不正な支払いがされたという噂も。そして、フランスのレクスプレス誌が、オランダにある仏自動車大手ルノーと日産自動車の統括会社」が2009~13年にラシダ・ダチ仏元法相(現欧州議会議員)に弁護士報酬として計60万ユーロ(約7500万円)を支払っていたと報じている。

ダチ氏はサルコジ政権時代の法相。同誌によると、元法相は日産・ルノー連合による中東・北アフリカでの事業展開に関与していた。

1965年生まれのダチ氏は、ソーヌ=エ=ロワール県サン・レミー出身。父がモロッコ出身のレンガ職人、母はアルジェリア人。カトリック系の学校に進学し、看護士助手として働きながら学んだ。ラガルデール・グループのマトラに就職し、欧州復興開発銀行、スエズ、フランス国民教育大臣補佐官などを歴任した。内相であったニコラ・サルコジの顧問、2007年フランス大統領選挙ではサルコジ陣営のスポークスマンをつとめた。

2009年女児を出産したが父親は不明。「マスコミに話すことができるのは、わたしの私生活は込み入っているということだけ」と述べたことが話題になった。

③イギリスでは、メイ首相が日産が英国での投資を続ける見返りに100億円を超える補助金の密約をしていたことが暴露された。2016年6月の国民投票で英国のEU離脱(ブレグジット)が決まったのち、日産がイギリスでの生産を続けるかが心配され、フランスではフランスへの移転や振り向けを期待していた。

そこで英政府はカルロス・ゴーン宛の書簡で、ブレグジットの影響を軽減し、最大8000万ポンド(約115億円)の支援を提示したというのだ。

この書簡の直後となる2016年10月に日産はSUVの「キャシュカイ」と「エクストレイル」の次期モデルを英国で生産することを決めた。非常に不可解な決定と言われ、フランス政府は怒ったが、その裏事情が明らかになったわけである。

しかし、これは、補助金だけでなく、ハードランディングはしないという約束もしていた。ところが、そうでもなくなったので、日産は今年2月3日に次期エクストレイルの生産を日本に切り替えると発表したのである。

これまで、この密約について、英政府は「商業上の機密にあたる」として公表してなかったが自ら明らかにした。合意なき離脱の可能性が高まったことで、日産に生産を継続するように圧力をかけるつもりらしい。なにしろ、日産のサンダーランドはイギリスで最大の自動車工場で7000人の従業員がいであり、しかも、英国版ラストベルトなので、地域全体が大苦境に陥りかねないのである。

また、イギリス政府は新規投資取りやめなら支援金の再申請が必要になるとして圧力をかけているようだ。

追伸:フランス経済誌シャランジュは、「仏政府が仏自動車大手ルノーの株式保有比率を段階的に引き下げ撤退する方針」だと報じたがフランス財務省は否定したと時事通信が流している。

将来への議論のなかで、ルノーの株主としてフランス政府が介入する度合いを減らすので、経営統合に応じるべきだという話は出てくると思う。シャランジュ誌が「日産は仏政府が(ルノーの株主として)いる限り、ルノーとの関係強化に消極的だ」というのももっともだ。

私は日仏両政府は産業政策として経営に影響力を及ぼせばいいのであって、株主としてフランス政府が出てくるのでなくてよいと思うし、この報道の裏もそういうことだろう。

しかし、いうまでもないことだが、西川社長が日産の代表であるのは、もうすぐ終わるだろう。日産はルノーの株式の43%以上を所有しているのだから、その意向を反映しない代表取締役などありえない(しばしば勘違いしているひとがいるが、ルノー以外に大株主はいないから実質的には過半数を抑えているに等しい)。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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