八幡和郎さんへの丁寧な回答

2019年02月12日 06:01

先日、安倍政権の方針を批判いたしましたので、特に反論を募集したわけではないのですが、高名な八幡和郎さんから直々にご指名頂きました。

渡瀬裕哉氏は『丁寧な無視』を酷く曲解している

静岡県立大サイト、BS朝日サイトより:編集部

私の方からも丁寧に回答させて頂きました上で、安倍政権と同じようにやり取りを我々の間で打ち切らせて頂きます。本稿に対する反論はご自身の論を否定することになるのでなさらないことを推奨いたします。(念のため、申し上げておきますと、私は個人的には八幡さんを嫌いではありません。)

韓国という国は国際的な宣伝戦を日本よりも大分得意にしている国であり、そのことはこれまでの慰安婦問題などの国際的な広がりを見れば明らかだと思います。

私もレーダー照射問題で韓国側が苦しい状況にあることには同意しています。しかし、日韓実務者協議の打ち切り後、韓国は哨戒機の威嚇飛行問題などのでっち上げを続けて、新たな論点を設定して泥仕合に持ち込むようにしていることも事実です。このような韓国の行動を可能にしているのが「丁寧な無視」という弱腰の外交姿勢によるところが大きいと指摘します。

日本側が「協議打ち切り」「丁寧な無視」という事実上のサボタージュに移行する中で、韓国に対して実効性がある制裁措置を行うことがないため、韓国側はやりたい放題に様々な論点を新たに作って拡散しています。それを「韓国が苦しい立場になっている」という楽観的評価を下すのか、それとも「日本からの追加的措置がないことを前提に攻め手を探っている」と厳しく評価するのか、というのが貴殿と私の違いです。

もちろん、前者の評価の通りであってほしいところですが、そのような安易な余裕を持った姿勢が過去に慰安婦問題などを膨れ上がらせる隙の1つになったことを付言します。韓国の対米ロビー予算1つを取っても舐めて良い相手ではありませんし、丁寧な無視はサンドバックと変わりません。全て1つ1つ徹底的に潰すこと、そしてできれば日本に手を出すことにリスクが伴うことが分かるような措置を実施することが望ましいです。

貴殿の韓国からの天皇陛下に対する侮辱を放置して良いという論には少々驚きましたが、この問題は単純に韓国だけを問題としたことではありません。良く読めばわかりますが、私も何も本件だけで即時制裁などを主張するほど安直な話はしていません。しかし、外務省のHPによると、2015年に中国国営メディアなどが今上天皇・昭和天皇の戦争責任に関する謝罪を求める記事を掲載した際、岸田外務大臣は、下記のように回答しています。

過去の戦争につき天皇陛下の謝罪を求める新華社評論

【フェニックステレビ リー記者】中国の新聞が天皇陛下に謝罪を求めたことに対して抗議をしたようです。その抗議の理由,改めてお聞かせ下さい。

【岸田外務大臣】ご指摘の点,新華社の評論ですが,中国国内の報道とはいえ,ご指摘の内容,これは,天皇陛下に対する礼を著しく失しており,これまで表明されてきた中国側の立場とも相容れないものであると考えています。そうした考えに基づいて外交ルートを通じて中国側に強く抗議をした次第です。

もちろん中国と韓国とは立場が違います。しかし、私が先の文章で求めた内容も外務省による韓国に対する抗議の有無ですが、それは河野大臣が記者会見で少し話したようなコメントではなく、岸田大臣が行ったような正式な外交ルートを通じた強い抗議を前提としています。それを求めることが貴殿の言う「表立って大騒ぎ」に該当することにあたるとは毛頭思えません。外務省にやるべきことをやってもらうことを求めただけです。

このような対応の1つ1つを中国、ロシア、北朝鮮などの国際社会が見ているのです。本件を欧米だけが見ていると思ったら大きな間違いです。言うべきことを言わない国は舐められるのです。私は貴殿がおっしゃる「日本人自身が韓国について正しい認識をもち、欧米など世界に対しての情報戦で賢く行動」することには賛成です。しかし、そのためには、韓国に対する「丁寧な無視」というサボタージュに繋がりかねない言説を肯定することは賢明ではないと思います。

なお、冒頭にも申し上げましたが、八幡さんもご自身の間違いを認めないでしょうから、本やり取りは安倍政権にならって打ち切りとさせて頂きます。ただし、再度申し上げますが、私は八幡さんのことを人間的に嫌っているわけではありませんので、悪しからず。

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渡瀬 裕哉
国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員

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