自衛隊がパワードスーツ導入するなら戦闘用より兵站用

空港の手荷物積み降ろし作業に「着るロボット」導入 負担軽減へ JAL

国内主要空港で手荷物・貨物の搭降載作業などのグランドハンドリング業務を担うJALグランドサービスと、着用型ロボットを提供するATOUN(アトウン)は2019年2月12日(火)、空港グランドハンドリング業務の革新の一環として、パワードウェアを導入すると発表しました。

作業者の身体的負荷の軽減と生産性向上を目的に、アトウンのパワードウェア「ATOUN MODEL Y」を20着導入し、羽田空港と成田空港に10着ずつ配備します。

以前東洋経済オンラインにも書きましたが、防衛省は戦闘用のパワードスーツを開発中ですが無駄です。

防衛省「パワードスーツ」構想は濫費である:新たに開発する必要がない理由<上>

「パワードスーツ」の前に防衛省がすべきこと:新たに開発する必要がない理由<下>

高機動パワードスーツのイメージ(防衛装備庁サイトより:編集部)

陸自の普通科は先進歩兵システムどころが、小銃のフラッシュライトかドットサイトを支給するカネもないんですよ。
仮に開発できでも配備なんぞできません。

しかも例よって、調達コストは割高でしょう。更に実戦の経験もない。
更に申せば、他国のように下車歩兵が多数の電子装備や電池、弾薬などの装備を携行しているわけでもない。

むしろ、上記の記事のようなロジで使うべきです。
そうすれば負担の軽減になります。あるいは10名が必要な作業が5名でできるかもしれない。
これは特にジプチの基地などの海外の基地や拠点では大きな意味をもつでしょう。

更に災害派遣用にもいいでしょう。
陸自に限らず海空自でも有用なはずです。

これは省力化、また隊員の負担を減らして隊員募集の困難さの解消に多少なりとも役に立つでしょう。

戦闘用のパワードスーツは堅牢さが必要でありバッテリーの駆動時間もかなりの時間が必要であり、実用的なものを作るには時間がかかるし、調達コストも高くなるでしょう。
そして、隊員不足の解消には全く役に立ちません。

繰り返しますが、予算がないので普通科が導入なんかできません。装備庁の自慰行為で終わります。
即ち開発費の無駄使いで終わります。

むしろ、ロジ用に汎用品のパワードスーツを自衛隊で大量に購入すれば、メーカーにとって福音となります。
その分離利益が増えて、開発費も増えて開発ペースが早くなって他国よりもいい製品ができるでしょう。

そうならば、将来はそれをもとに戦闘用のパワードスーツを開発すればいいではないですか。
それが迂遠なようで近道です。

自衛隊という消費するだけの乗数効果を期待できない組織をいかにして、日本の産業のスプリングボードとして利用するか、それも広い意味での防衛産業の振興だと思います。

それから軍事協力をしないと偉そうなことを言っている大学が多々あります。
ならばそれらの大学では軍事に関わる研究、教育はしないということでしょう。

そうであれば、歴史、文学、外交、国際関係論、政治、考古学、民俗学などの学問もやめるべきだと思いますが違うのでしょうか。特に政治、外交、国際関係論、歴史は軍事や軍政に大きな影響を与えます。
軍事技術に非協力とう立場を表明する大学ではこれらの分野の研究、教育もやめるべきです。

それをやらないのであれば、自分たちは知性が低いと宣伝しているようなものです。
其の程度の知性で研究者、教育者を名乗るのをいささかおこがましいとかと思われます。

■本日の市ヶ谷の噂■
防衛省は防衛省記者クラブがフリーランスにも会見参加を認めたのに、手続きの用意ができていないことを盾に延々と拒否。決定するにも責任者はいないとのこと。これは報道嫌いの髙橋憲一事務次官の嫌がらせによるものとの噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2019年2月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。