ビジネスのちょっとした改善:カギは「フレキビリティ」

2019年02月24日 14:00

写真AC:編集部

同じ仕事を何十年と続けることは日本的には美談になることが多いと思います。「〇〇一筋で生きてきました」などという常套句的な挨拶は頑張ってきたのだな、と思う一方、もっとできたのではないか、という可能性もあったのではないでしょうか?

雑誌プレジデントのオンライン版に「吉野家ボロ負けを導いた”牛丼一筋”の呪縛」という記事があるのですが、牛丼大手3社のうち吉野家の業績だけが一人負けになっています。理由はこのタイトルが示す通りです。「このやり方に間違いない」と信じるのは構わないのですが、現代の企業経営としてはリスクが大きくなり、フレキシビリティがなくなります。

高層ビルは常に微妙に揺れています。上層部に行くほど揺れを大きく感じますが、あれは揺れるからこそ、地震などを吸収できるのです。つまりもともと構造上、フレキシビリティを持たせることにより、突発的な問題が発生してもその許容枠で揺れを吸収できるようにしています。

私は次々といろいろな仕事をやってきました。なぜ、と思う方も多いと思います。仕事の多くはルーティンワークの積み重ねです。不動産の賃貸なら契約期間とか、駐車場ならひと月ごとの支払い期間など必ず、一定の初めと終わりがあります。これを実務として繰り返していると何度かやるとコツがつかめてくるため、業務の改善案が見えてきます。ドンドン改善を重ねればやり始めの頃に比べ労力も時間も成果品も圧倒的に改善されます。フレキシビリティです。

例えば私が担当する会社の決算は8社あります。業種が違うため、それぞれ決算のアプローチや積み上げ方が違いますから毎年、決算時期になると今年はこのあたりを改良して…という具合に変えていきます。また、決算終了後、会計士からのコメントをベースに新年度以降の経理の管理も変えていきます。これにより数字がいつでもどこでもすぐに出せ、経営に反映させやすくすると同時に決算が瞬く間に終わる、という仕組みを作り上げていきます。

「お前はいつも忙しそうだ」と言われるのは効率化や改善を進めることで隙間時間ができるので貧乏性の私は次のステップに挑戦してしまうのです。一方で様々な仕事や経験を積み上げてきていますので知識の年輪が太くなるのです。よって、何か新しいプロジェクトの際にも「あぁ、あの時のあの経験を活用して…」という具合になるのです。

私は飲食業を経営する方を何人も存じ上げていますが、多店舗展開を図る方も多くなっています。立派だと思います。以前、寿司屋の話をこのブログでしたことがあります。「なぜ、寿司屋は多店舗展開しにくいのか?」ですが、理由は寿司屋のオヤジはカウンターからすべての客席を隅々まで見渡し、寿司を握りながら「そこ、お茶入れて」「そこ、片付けて」といった司令塔役をこなすケースがあるからです。城を守るというこだわりの結果、自分のクローン人間=2号店を任せる人が育たないのです。吉野家の牛丼と似ています。

一方、比較的若い層の飲食経営者は店長に任せるケースが多いようです。そのため、多店舗展開したその店はどれも違う顔、違うメニュー、違う価格であったりします。あえて言えば兄弟店ということでしょうか?ファン層ならば「今日はこっちにしてみようか」とか「私はあっちが好きだな」という顧客の囲い込みができる上に常連客を飽きさせない上手さがあります。

日本の小規模事業経営者には「待つビジネス」の方が多いと思います。店を朝9時から夜7時まで開けることに多くのエネルギーを割き、あとは客が来るのを待つスタイルの経営者はいまだ多いでしょう。そうではなく、自分から売りに行く、あるいはいつもの客に「こういうのもある」とアップセールすることもできるでしょう。客と駄話をしながら客が求める商品や期待度を探ることもできます。

レストランで注文を取るだけならAI君でもロボットでもできます。その席に座った顔ぶれを見てお客様たちが心地よい時を過ごせるよう臨機応変なもてなしが出来たらどれだけよいでしょう。私は北米のレストランではサーバーさんから時々もてなされますが、日本ではまずありません。店主に「おい、そんなところで油を売っているんじゃない」と怒られるからでしょう。それは間違いだと思います。客からの素直な声を聴けるのは店主ではなく、サーバーさんだと気が付けばビジネスの切り口は大きく変わってくると思うのですが。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年2月24日の記事より転載させていただきました。

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