自己啓発に注意!ポジティブ思考も行き過ぎればマイナスに

2019年03月01日 11:30

Photos by K.Bito


筆者は年に数百冊の書籍コラムを紹介している。最近感じることは根拠のない自己啓発書が増えたことである。「靴を新しくすると新しいお客様を開拓できる」「ノートに書けば願いは叶う」「ポジティブ思考はリーダーの必須要件」みたいなフレーズは誰もが知っている。自己投資は大切である。しかし、額面どおりに受け止めてはいけない。

今回は興味深い本を紹介したい。『運活力 人生のエネルギーをアップする77の方法』(來夢(著)、実業之日本社)。著者は、経営者やベストセラー作家やなど各界の著名人のメンターとして人気があるようだ。たまたま知人からいただいたものである。

自己啓発とは何者なのか?

あるコーナーの一部を紹介する。「世の中では『ポジティブ思考』が美徳とされることがあるが、いちばん大切なのは『普通』という感覚を失わないで居続けられるかどうかである。たとえば、心が病んでいる人も多い中、うつになる人は、ホントに真面目で努力家で頑張り屋さんが多い。いつも前向きでいようと限界を超えて気を使っているから、当然それは張り詰めた糸のように、ある日突然気力がぷつんと切れることになる」。

「自分自身のことを普通に見たときに、『なんか、おかしい』ってちょっとでも感じたなら、できる範囲からでいいからメンテナンスしておかないと。歯が痛くなったら歯医者に行くように、心が辛いなら治療しなくちゃ」。

これは、エスケープゾーンのことである。元々はハンドリングの操作ミスで、コース外に飛び出した場合に備えてつくられた待避場所のこと。これは、人間も同じで、ストレスフルの時に退避するエスケープゾーンが必要である。退避方法は、睡眠でもいいし、読書や映画鑑賞でもいい。いまをリセットする方法を見つけておくこと。多くのビジネスパーソンが知っておくべき技法だが、これを知る人は少ないし会社も教えない。

続きを紹介しよう。「また、ポジティブ要素が必ずしもいいところばかりではない、という事実にも気づいてほしい。『自尊心』が度を越せば『傲慢』に変化してしまうように、『明るさ』も状況判断を誤れば『無神経』に映ることもある」。

「その反対に、ネガティブ要素でも、『嫉妬』は自分を奮い立たせる『原動力』になることもあるし、『心配性』も上手に使えば『慎重さ』として活かせることになるのだ。大切なのは、体験から学んで、うまくバランスをとっていくこと。ポジティブもネガティブも、どちらかに偏り過ぎれば、自分自身を苦しめることになる」。

本書は、2009年の上梓なので10年前の本になる。「『ありのまま』を受け入れれば楽になる」、「確固たる『軸』があれば強くなれる」、「最初の動機は不純だってかまわない」など重要なエッセンスが籠められている。

この本を読むことで、いまの自己啓発書で紹介されているメソッドを鳥瞰できるに違いない。まがい物やパクリ、稚拙さを理解できるだろう。筆者は、ベストセラーになった著名人の作品より、こちらの方がはるかにしっくりきている。

運の本質が理解できる本

バランスをとるために必要なのが「普通」という感覚である。「普通」の感覚を持っていれば、自分がいまどんな状態にあるのか客観的に判断できるようになる。ポジティブに頑張りすぎているなら、「ちょっと休んで」というサインを、ネガティブに走っているなら、「もっと気楽に」というサインを、自分自身に送りながら客観視する必要がある。

「運」はどんな人にも平等にある。ただし、大切なのはその「運」にどう気づき、活かしていくかということ。仕事、お金、恋、結婚など、生きるうえでの重大な関心事と運の関係について説いている。10年前の上梓であることに驚きを禁じえない。

<参考書籍>
運活力 人生のエネルギーをアップする77の方法』(來夢(著)、実業之日本社)
(來夢(著)、実業之日本社)

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

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尾藤 克之
コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所研究員

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