大手銀行が指定金融機関を辞退する動きの背景

2019年03月07日 11:30

指定金融機関とは、自治体から公金の収納や支払いの事務を一括で任された金融機関を指す。1964年に地方自治法で制度化された。都道府県は指定金融機関を置くよう義務づけられ、任意の市町村も大半が指定している(日経新聞のサイトより)。

指定金融機関(指定金)は自治体の「金庫番」とも呼ばれ、金融機関の預金獲得競争時代にあっては、指定金の獲得でもしのぎを削ったとされている。

指定金となった金融機関は地方公共団体を自らのイメージや信用力を維持し高めるための取引相手として重要視しており、手数料無料の収納や支払、全額金融機関側のコスト負担での派出などの特典を提供していた。役所に出張所を置いて、常駐する行員らが税金の収納などにあたるようなこともしていた。

これは金融機関のイメージ戦略だけでなく、公金預金の運用による利ざや、さらには地方債の引き受け手数料などによって上記の経費がカバーされていた。ところが日銀のマイナス金利政策などもあり、利ざやは縮小し、預金を集めるメリットは低減、さらには地方債の引受での入札制度の導入などから、うまみが消えてきた。このため約60の自治体から指定されている三菱UFJ銀行は手数料の引き上げを求める交渉を始めたそうである。

その結果、公金の収納や支払いを一手に引き受ける指定金融機関(指定金)で、三菱UFJ銀行は近畿地方を中心に10市ほどで指定を辞退すると、6日の日経新聞が報じた。

三菱UFJ銀行の例は自治体取引がもはや聖域ではなく、採算をドライに見極める銀行が増えてくることを示していると日経新聞の記事では指摘している。

それでなくても低金利下で収益拡大が見込めないなか、不採算となるものは切り捨てざるを得ない。そうなると自治体にとっても、金融機関に負担させていた本来掛かるはずの費用を自ら負担せざるを得なくなる。

金融機関も体力勝負となるなか、この動きは三菱UFJ銀行だけに止まるとも思えない。金融機関の収益構造を考慮すれば、手数料の引き上げ交渉も必要になるであろうし、場合によればうまみ成分の薄れた指定金融機関を辞退するという選択肢も必要になってくるのではなかろうか。

収納業務にはコンビニや郵便局なども参加するなど、資金の取引形態も変化してきており、指定金融機関という制度そのものを見直す時期に来ているのかもしれない。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2019年3月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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