大阪都構想を問い直していい理由

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

松井知事(右、編集部撮影)と吉村市長(大阪市サイトより)

昨日、ついに大阪維新の会の松井知事、吉村市長が辞職を表明し、出直しクロス選挙が行われることが確定しました。

私は従前から大阪都構想を支持していることを表明しておりますので、今回の決断も断然、支持するものです。

今回のダブル選について、国政政党や有識者からは批判が相次いでいます。その一つが

「すでに住民投票で結論が出ている。問い直すこと自体が無益」

というものです。この言説は、まったく民主主義を理解していないものと言わざるを得ません。

本ブログでは繰り返し繰り返し述べてきていますが、選挙・投票というのは「とりあえずの結論」を出すものにすぎないからです。

人は間違う、うつろう。しかしその中で、何らかの結論を出して前に進まなければならない。

だからこそ多数決で「とりあえずの結論」を出して、一定期間の後、また問い直すことを制度として確立したのです。

政治バイブルに一つである「民主主義」の中から再び引用します。

多数決によるのは、多数の意見ならば正しいと決めてかかることを意味するものではないのである。ただ、対立する幾つかの意見の中でどれが正しいかは、あらかじめ判断しえないことが多い。神ならば、その中でどれが真理であるかを即座に決定しうるであろう。しかし、神ならぬ人間が、神のような権威をもって断定を下すことは、思い上がった独断の態度にほかならないのである。

さればといって、どれが進むべきほんとうの道であるかわからないというだけでは、問題はいつまでたっても解決しない。だから、多数決によって一応の解決をつけるのである。つまり、多数決は、これならば確かに正しいと決定してしまうことではなくて、それで一応問題のけりをつけて、先に進んでみるための方法なのである。

(民主主義 P98より。強調筆者)

先に進んでみた結果を検証し、再び問い直す。総選挙や地方選挙は4年に1度であり、前回の大阪都構想住民投票は2015年。

その間にも、大阪万博の招致が決まり、民営化された公園運営や地下鉄は目覚ましい進化を遂げ、大阪の状況は確実に良い方向に変わっています。

翌年にすぐにもう一度住民投票をやろうと言うのであれば話は別ですが、以前に出した「とりあえずの結論」を再検証しようというのに、十分な時間が経過しているのではないでしょうか。

加えて、前回のダブル首長選挙における公約の一丁目一番地が「もう一度、大阪都構想の住民投票を実施する」ことであったわけですから、直近の民意はそちらにあると考えることもできます。

また、「わざわざダブル選でやらなくても良い選挙をやって、税金の無駄遣いだ!」という指摘も、今回の場合は当てはまりません。

今回の辞職によって、もともと予定されていた統一地方選挙の日程にズレていた首長選挙が行われるということですから、むしろ選挙実施費用の削減になることも明らかになっています。

もちろん、任期終了まできちんと勤め上げろという批判は避けられないと思いますが、出直してして再び信を問うのは民主主義のルール化で認められた手段です。厳しい審判も含めて、勝負に挑む覚悟なのでしょう。

今回は私も仲間たちが都内を中心に出馬する統一地方選挙と同時になりますから、前回のように現地に応援に伺うことは難しい可能性が高いですが、東京の地からダブル選の圧勝・議会の過半数奪取をできる形で支援したいと思います。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2019年3月8日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。

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