NZ銃乱射事件:二度と惨事を繰り返さないために

先週15日(金)にクライストチャーチ(ニュージーランド)で銃乱射事件が発生しました。事件直後はイスラム教会「モスク」を狙った反イスラムの犯行と言われてきましたが、死者は昨日18日午後現在で50人にのぼっています。

単独犯による銃乱射、テロ事件としては異例の大惨事になりました。
ニュージーランドは治安の良い国と一般的には思われてきました。そんなニュージーランドで今回の惨事が起きたことに、何よりも驚いています。

今回の事件でわかったことがあります。それはニュージーランドでは銃の保有者が実は多い事です。銃の所有には免許が必要ですが、16歳以上で試験に合格すれば、比較的容易に免許が取得できるそうです。その背景には狩猟文化「ハンティング」があるからです。

昨日の日本経済新聞によると、人口100人当たりの銃所持数はニュージーランドで33丁、オーストラリアは13丁、イギリスは5丁ということです。オーストラリアの2. 5倍、イギリスと比較すれば6倍以上の差ですね。ちなみに日本ではどれ程かを調べたところ、0. 006丁ということですから桁違いです。これも日本経済新聞の記事に出ていましたが、14年前の2005年と比べてニュージーランドの銃所持者は6割も増えているそうです。知りませんでしたが、ニュージーランドでは銃が多い国と言えそうです。

私はこれまでに何度もニュージーランドに行っています。政治行政を調査して、「行革のレシピ 日本の料理法NZ風(1997年(平成9年)11月13日 読売新聞社発行)も出版しました。それからも親密にお付き合いをしてきましたので、今年1月21日には東京にあるニュージーランド大使館でスティーブン・ペイトン駐日ニュージーランド特命全権大使にお招き頂き、夕食をご一緒してきました。

その時も話題になりましたが、私がニュージーランドを訪れていた1990年代半ばは人口が1万人ずつ増えていく傾向にあり、およそ360万人台から370万人台の人口時代でした。現在の人口は約470万人ですから、この20年間で約100万人増えた、そしてそれはほぼ移民ということです。

当然ですが、学校や職場、街角には移民が目立つようになってきたと考えられます。そして、今回の犯人が出した犯行声明の中には、移民を侵略者とみなして敵意をむき出しにしているような書きぶりがあるそう。

今回の事件を受けて、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は銃の規制強化を打ち出しました。事件の全容解明もですが、それとは別に是非やって頂きたいと思います。そして治安の良いニュージーランドを一刻も早く取り戻してほしいと思います。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年3月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。