経営者が真剣に悩む人材の質

2019年03月20日 14:00

私の会社は何年もスタッフ不足に悩まされていますが、事務所仕事は究極の効率化でしのいできました。ただ現場はそうはいきません。今度採用する方はスコットランド訛りがきつい76歳の方です。元気そうで本人もやる気満々なのでお願いすることにしています。

なぜここまで高齢な方にするのか、といえば適齢の人材は払底しているからです。いや、正しくは人材はいますがどうせすぐに辞めます。仕事に飽きてしまうか、もっと待遇の良いところに移ってしまうのです。どこに行くのかと思えば案外レストラン業界だったりするのでなぜ、と聞けば「チップだけでびっくりするほどの収入がある」という言葉になびいてしまうようです。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

つまりその人の将来的なスキルよりも目先の報酬になびいてしまうイージーゴーイングなのでしょう。そして、正直、私が接してきた適齢のスタッフ達は要求は十二分ですが、業務レベルは不満だったこともしばしばありました。結局どうなるかといえば先方が辞めるか、こちらが絶縁状を突き付けるかのどちらかになってしまいます。その一方である程度の年齢の方は仕事を一生懸命真面目に取り組んでくれ、仕事のホウレンソウ(報告、連絡、相談)ができる方が多く、任せられるという安心感があります。

仕事のクオリティが悪くなっているのはどの業界も全般的に言えることかと思います。そこをどうにかして形に持っていくのがマネージャー達の仕事でありますが、今や、マネージャーのクオリティもどうかというケースはあります。

今年カナダでやった確定申告。こちらはネットで処理し、完了ボタンを押せば1週間から10日で税務当局から連絡が来ます。その連絡を見てびっくり。税務当局がどう見ても間違えて計算しています。当局に電話をかけて1時間待ってようやくつながり、事情を説明すると税務署の人が手計算でそのおかしな部分の検証をしています。「うーん、確かにこれは変だ」と認めたもののそこからが進みません。監督者が捉まらず、修正ができないのです。結局、担当者曰く、「3日以内に必ず連絡が行くから」と。ところが10日たった今でもなしのつぶてです。時間の約束はあってないようなもの、と思わざるを得ません。

日本の飲食店でアルバイトが子供でもしないいたずらをしてYoutubeに投稿していたことが多数発覚し、どの経営者も必死の対策を施しました。一部で労働の質が極めて低い人材を採用せざるを得なかった、と申し上げます。それほど人材不足が深刻であるというのが日本の飲食業界なのでしょう。

私は外国人労働者の方がまだ真面目ではないか思う時すらあります。なぜなら海外では規約違反をすればすぐに首になるだけでなく、リファレンスという仕組み(採用の際、前職の会社からその人事評価をもらうこと)で悪評価はその後の就職の道を閉ざすほどのダメージになることが分かっているからでしょう。

ここカナダは移民の国ですが、いわゆる単純労働は移民らしき人々が一生懸命守っています。一方、ローカルのスタッフはサボり上手で「楽しい職場」を自作自演したりします。(レストランのサーバーは常連と話し込み、オフィスのスタッフは親しい取引先と必要以上のお付き合いをするなど、悪事ではないですが、不公平感を感じることもあるでしょう。)

だったらもう、ヒューマンタッチのサービスは極限まで減らすしかないというのも一案かもしれません。アメリカでは一部のレストランでタッチパネル式で注文から支払いまで済ませる方式をとっているところがあると聞きます。日本の回転寿司は注文と配膳を機械が行いますが、支払いもカードやスマホ決済のみならば客も店も助かります。

ではこのままでいけば10年後、我々の仕事は管理業務だけになるのでしょうか?その時、下から積み上げているスタッフは何かあっても対応も可能かと思いますが、機械化社会に育った人たちはトラブル発生時点で対処ができなくなるとも言えます。

人間と機械が共存していく中で物事がうまく回っているときはそれでいいですが、何かあってマニュアル対応をする時、恐ろしいほど頭痛の種が生まれるような気がします。今の人手不足は否が応でも機械化と効率化を進めさせます。しかし、いったん不況になって人材の需給が緩んだ時、仕事にありつける人とありつけない人の明白な差が生まれる予感がします。

お金が全てではありません。仕事とは人生の一部であり、それを通じて人間の年輪を太くしていく幹だと私は思っていますが、そんなのは古いのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年3月20日の記事より転載させていただきました。

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