大塚家具:財務報告に係る内部統制に「開示すべき重要な不備」

山口 利昭

大塚家具サイトより:編集部

3月29日に定時株主総会を終えたばかりの大塚家具さんですが、昨日(4月1日)、財務報告内部統制に開示すべき重要な不備があり、内部統制は有効ではない、との内部統制報告書を提出されたそうです(適時開示リリースはこちら)。

大塚家具さんといえば、会計監査人の交代があり(大手監査法人から小規模の監査法人へ)、また監査等委員会設置会社から監査役会設置会社へ機関形態を移行しましたが(当ブログの3月13日エントリー記事)、このあたりが原因なのかもしれませんね(私は監査報酬で折り合いがつかなかったことが原因だと思っていましたが)。

有価証券報告書の提出時期が総会直後となるために、株主総会ではインサイダー情報を開示できないところではありますが、総会招集通知の事業報告や監査報告書を読みますと、関係者の悩みが伝わってくるように思います(投資家からの批判は出てくるのでしょうか、それとも「内部統制の重大な不備よりも業績回復に向けた施策のほうが重大関心事」ということでノープロブレムということなんでしょうか)。

なお、会社側は内部統制の不備が判明したのが期末直前だったために修正できなかった、今後は速やかに修正します、とのこと。

大きな金額の会計不正事件を起こさずとも、決算・財務プロセスに「?」と感じるところがあれば、(ダイレクトレポーティングを採用せずとも)適正意見がもらえない、という点は他社も留意すべきと考えます(比較的小さな上場会社の場合には「財務・会計を知っている担当者がいない」という理由で「重大な不備」を指摘されていたケースはあったと思いますが)。

山口 利昭 山口利昭法律事務所代表弁護士
大阪大学法学部卒業。大阪弁護士会所属(1990年登録  42期)。IPO支援、内部統制システム構築支援、企業会計関連、コンプライアンス体制整備、不正検査業務、独立第三者委員会委員、社外取締役、社外監査役、内部通報制度における外部窓口業務など数々の企業法務を手がける。ニッセンホールディングス、大東建託株式会社、大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社の社外監査役を歴任。大阪メトロ(大阪市高速電気軌道株式会社)社外監査役(2018年4月~)。事務所HP


編集部より:この記事は、弁護士、山口利昭氏のブログ 2019年4月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、山口氏のブログ「ビジネス法務の部屋」をご覧ください。