上司が意気込んでも部下はついて来ない。あなた大丈夫?

2019年04月08日 11:30

4月は組織刷新の時期でもある。今回は、この時期にぴったりのマネジメント本『最高の上司は、何も教えない。自分も部下も結果がすぐ出るマネジメントの鉄則43』(ビジネス社)を紹介したい。著者は、森泰造さん。発売たちまち重版の前作『ケンタッキー流部下の動かし方』に続く最新作になる。

■よくある社内の現象とは

ABCパートナーズ(仮名)は業界中堅のネットワーク機器ベンダー。田中さんは同社の営業3課の課長職にある。「おい、ちょっと良いか」。上司に呼ばれた田中さんは、ある新規開拓専門部署に異動することになった。社長肝いりのプロジェクトで、各部署から精鋭が集められる。田中さんは部門長に抜擢された。

就任当日、田中さんはメンバーに檄を飛ばした。「これは社長肝いりのプロジェクトです。皆さんには全力を尽くしてもらいたい!」。その後、事業拡大のためのミーティングを開いた。すでに、新規開拓の対象となりそうな企業をリストアップし、どのように売り込むか営業戦略を立て始めている。しかし大きな壁が立ちはだかる。商品となるはずのシステムのバグが半端ではなかったのである。

メンバーはスケジュールを再考するように田中さんに迫った。しかし田中さんは「お前たちなら解決できる!ピンチはチャンスだ!夢に日付をいれろ!途中で諦めるな!頭を働かせるんだ!夢にときめけ!明日にきらめけ!」と、夕焼け番長さながら、青春漫画のようなセリフを繰り返すばかりだった。

メンバーのモチベーションは急速に下がっていった。社長肝いりのプロジェクトは1年も経たないうちに責任の所在がわからないままに、総務部預かりとなった。その1ヵ月後、部門は解体となった。有価証券報告書には業績への影響は軽微であることから詳細は記載されなかった。実は、3ヶ月前に田中さんも退職していた。

■あるべきリーダーの姿とは

それまでプレイヤーだったあなたが、管理職としてチームを任された初日。ついつい意気込み大上段にかまえて自分のポリシーを伝える人もいるが、あまり感心できない。

「最低限これだけは大切にしてほしいことは伝えてもいいでしょう。しかし、『私が来たからには、日本一を目指す。前任者の言っていたことはいったんリセットし、私の言うことだけを信じてついてきてほしい。わかりましたか?なんてことを 言ってしまうと、部下はかえって身がまえてしまいます」(森さん)

「当然、初日はほだ信頼関係もできていない状況ですから、発言の真意などまず理解されず表面的な部分しか聞き入れてもらえません。実際、かつて私の上司がそれをやってしまい、とりあえず彼の前では『はい』と返事をしたものの、同僚たちは一様に裏表のある態度をとるようになったのを目の当たり にしたこともあります」(同)

忘れてはならないのは、管理職の仕事の優先順位第1位は、部下を成長させながらチームとしての成果を挙げていくということ。そのためには、まず現状を理解しなければいけない。まず部下について”観察”することだと森さんは指摘する。

問題が発生しないようにアドバイスすることは大切だが、やりすぎると部下の主体性を育てる機会を奪ってしまっことになりかねない。そして、観察して各々の方向性が見えてきたら、個別の個人面談をおこない目標設定や問題認識の共有をおこなう。いずれにしても、信頼関係の構築が最も大切であることは言うまでもない。

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

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尾藤 克之
コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所研究員

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