10連休が示す危機管理意識の不足

2019年04月17日 06:00

海外市場に連動する時代

新天皇の即位日(5月1日)を休日にしたため、4月27日から5月6日まで、今年だけ10連休となりました。政府、官邸は当初、国民が喜ぶと想像したに違いありません。その後、どうですか。関係業界、公的機関はあわてふためいて、10連休がもたらす混乱防止策に走っています。

写真AC:編集部

お盆休み、年始末の休み、例年のゴールデン・ウイークに比べ、ずっと長く、しかも多くの企業や公的機関が一斉にクローズされる。未経験のことです。政府は事前に様々なシミュレーションをやり、万全の備えで臨んだのかといえば、違います。差し迫ってから慌てて、しかもばらばらに対策を考えている。

こんなことになるのなら即位日をずらしておけば、心配なかったはずです。あるいは何日分かを振り替え休日にして、分散しておく手もあった。もちろん、休日法にのっとり、法令で定める必要があります。つくづく思うに、国民が歓迎しそうことに政府、官邸は安易に飛びつく。しかも官邸一強体制が続き、官邸以外は国全体のことを考えないまま、政策が決まっていくから混乱を招く。

長期連休の間に起きるかもしれないリスクとは、まず「金融為替市場の急激な変動」、「企業や政府が機能を停止している時に発生する大災害」です。そのほか「病院や医院の閉鎖中の急病の扱い」、「保育所、幼稚園の閉鎖中の子供のケア」、さらに「連休前の駆け込み需要による物流の混乱」、「連休明けの反動減」など、心配の種はいくらでもあります。

海外の波乱は日本に波及

10連休は国内要因で決まりました。そこで問題が起きる。特に経済、それもマネー、物流は海外市場とつながっており、「海外市場の波乱はただちに日本に波及する」、「日本の物流業者が休みでも、海外からお構いなく貨物船がコンテナを運んでくる。その荷揚げができない」のです。

写真AC:編集部

証券会社からごく最近、「重要なお知らせ。連休中のご注意事項」という郵便物が届きました。「海外市場で相場が急変した場合、当社においては外国株を含むすべての商品の発注、売買ができませんので、想定外の損失を被る可能性があります」、「海外市場の動きによっては、連休後の国内市場で株価が大きく変動する可能性があります」。だからどうしろというのかが分からない。

異次元金融緩和で株高になり、株価が景気観を左右する変則的な状況が続いているのに、国内市場を10日間も閉めることのリスクを官邸は事前に考えたのでしょうか。海外との物流もそうです。海外市場と一体で日本市場があるということを忘れている。それが怖い。危機意識が足りない。

震災が発生したら被害拡大

震災が多発しています。海外旅行者は通常の2倍、国内旅行者も何倍かになります。自宅ががら空きの時に震災が起きたらどうするか。休みを自主的に調整できる盆暮れの休みの時と違って、10連休は半強制的な企業、機関の閉鎖です。万一、震災が起きたら、10日間の空白は被害を大きくするはずです。

「何事も起きないことを祈る」のですか。「何事かが起きることを想定して、備えておくのがリスク管理。起きないことを祈るのはリスク管理と言わない」はずです。

月に一度、通う近くの医院に行きましたら、「10連休中は、2日間、営業をします」との貼り紙がありました。たった2日間か。医院としても、看護師、事務員を休める必要がありますので、2日程度が限度なのでしょう。都立病院は4日程度は診療を受ける。健康管理は自己責任でやるしかない。

「人手不足で大騒ぎしているのに、休日を増やし、人手不足に拍車をかける」、「10連休を歓迎しているのは安心して休める正社員」、「時間給の非正規労働者を大切にしようといっているのに、職場が休みなら彼らの給与は減る」、「保育園が休みなら、パート労働者は仕事を休んで自宅で子供の面倒をみるしかない」。こんな問題点も指摘されています。10連休は日本の課題を浮き彫りにしています。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2019年4月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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