北朝鮮「最後の切り札」SLBM

2019年04月19日 14:00

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が12日、決裂したベトナム・ハノイでの米朝首脳会談について初めて公式的に言及した。
要約すると「朝米首脳会談をもう一度やりたいが、米国が新たな計算法を持って出なければならない。会談再開の時限は『今年末』までだ」という強気な発言だった。

北朝鮮のSLBMミサイル「北極星2」(北朝鮮政府日本語版サイト:編集部

会談再開の期限を長く延ばした理由は、自分が急いでいないこと、そして、制裁に屈しない自立更生の意志を誇示したかったのだろう。

特に注目される発言は、「明白なのは、米国が今の政治的計算法にこだわる場合、問題解決の見通しは暗いし、非常に危険だ」と述べた部分である。これは年末まで時間稼ぎして何かを完成しようとしていることを示唆している。それは、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載する弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)である。

昨年11月、米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は、北朝鮮の未公表ミサイル基地を13カ所特定した上で、「ノドン・スカッド短距離ミサイルに搭載できる核弾頭の小型化技術の開発を継続しているようだ」と明らかにした。ノドン・スカッドミサイルが狙うのは韓国と日本(在日米軍)の基地だ。

一方、米国の分析サイト「38ノース」は4月12日、最新の衛星写真に基づき、北朝鮮東部の新浦造船所でSLBM搭載用の潜水艦建造が継続してきた可能性があると伝えた。特に3月23日に確認された潜水艦が4月5日にはなくなっていたという。

韓国の情報筋には、SSBNが進水したとの見方もある。軍艦は進水してから約1年間の戦力化過程が必要不可欠である。
北朝鮮のSLBMが最初に知られたのは14年8月。当時は1,700㌧級潜水艦に搭載するものだった。だが、現在は、3,500㌧級Gクラス潜水艦に搭載するものであり、弾道ミサイル発射管3本が装着出来るSSBN完成を進んでいる。

金正恩の当面の重要課題は原子力潜水艦を今年中に戦力化して、北極星3号(SLBM)を年末までに搭載完了する。と共に、ICBM核弾頭の小型化を今年中に終えることである。SLBMの発射試験と小型化された核弾頭ICBMの発射試験は、来年上半期になると予想される。

SLBMは国土が核攻撃を受けても水中から核報復攻撃が出来る。したがって、北朝鮮のSLBMが戦力化される前に、アメリカはレジームチェンジに動く可能性が高い。同時に、全面的な海上封鎖作戦、または外科手術の攻撃に突入する可能性が一層高まるものと予想される。

(拓殖大学主任研究員・韓国統一振興院専任教授、元国防省専門委員、分析官歴任)
※本稿は『世界日報』(4月19日)に掲載したコラムを筆者が加筆したものです。

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高 永喆
拓殖大学客員研究員、韓国統一振興院専任教授、元韓国国防省専門委員

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