バロンズ:絶好調なIPOは、相場頭打ちのサインか

2019年04月22日 11:30

バロンズ誌、今週はカバーに音楽ストリーミング大手スポティファイ・テクノロジーを掲げる。2018年4月、同社が金融機関の主幹事を介さず鳴り物入りで直接上場を果たした時から、投資家の熱い注目を浴び続けてきた。経営戦略として、若い世代に注力し、クラウド・オペレーションで、購読者ベースのサービスである上、最高経営責任者(CEO)は明確なビジョンを持った人物と、投資家が好む材料がいくつも備わっているためだ。

次のネットフリックスとも謳われるが、株価は上場時の165.90ドルから198.99ドルの最高値から103.29ドルの最安値と、マライア・キャリーの歌声のように大きく上下してきた。2月に発表した決算では、利益率は2018年10〜12月の26.7%から2019年には22〜25%への低下を予想黒字転換もアナリスト予想に反し2020年をまたぐ公算が大きくなっている。果たして、スポティファイは投資に値するのか。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は2019年に入って熱を帯びる新規株式公開(IPO)などが表すリスク選好度の強まりに注目する。抄訳は、以下の通り。

ピンタレストやズームなど綱渡りIPOは、頭打ちのサインか—High-Wire IPOs Like Pinterest and Zoom Could Signal a Market Top.

メリルリンチなどウォール街で長くストラテジストとして長く第一線を張っていたボブ・ファレル氏は、米株相場が2018年12月の安値から最高値まであと1%に迫るまで回復した動きを受け、リスクの強まりを指摘した。一方で、ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、過剰に悲観的で様子見を決め込んでいた投資家が現金を株式に移さざるをえなくなると予想、すなわちメルトアップの可能性に言及した。

投資信託の投資家は、まだ株式市場に戻ってきていない。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのファンドマネージャー調査では、株式は年初来で907億ドルの流出となった。一方で、債券は1,202億ドルの流入となり、そのうち1,020億ドルはハイイールド債に向かった 。利回りを求めるリスク選好度の強まりを現す。

画像収集ソーシャルメディアのピンタレスト、TV会議サービスのズーム・ビデオ・コミュニケーションズのIPOも、同様に金融市場におけるリスク嗜好の高まりを見せたと言えよう。それぞれ初日にIPO価格から28.4%高、72.2%高もの急騰を遂げ、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズのエリック・ユアンCEOをして「クレイジーだ!」と言わしめたものだ。

米国のIPO動向。
ipo
(作成:My Big Apple NY)

TLRのフィリッパ・ダン氏とダグ・ヘンウッド氏は、華々しいIPOを受けて「長きにわたる強気相場が最後の段階に入った」と慎重だ。両氏は最高値に迫る相場動向を承知しながら、1980年以降の特徴として、IPO銘柄のリターンは米株相場全体を18%下回ると指摘する。

ストラテガス・セキュリティーズによれば、特に80億ドル以上の大型IPOは、向こう1年間にわたりアンダーパフォームする傾向にある。企業がIPOを先送りする余り、成長余地が限られてしまうためだ。

企業業績も、懸念材料と言えよう。労働市場のひっ迫に伴い賃金が上昇し続ければ、利益率を縮小させかねない。

足元の米株高が、米連邦公開市場委員会(FOMC)によるステルス緩和である点も否めないが、米経済が金利据え置きや資産圧縮停止が必要なほど減速しているかが、今後の問題となりうる。アトランタ地区連銀は、1〜3月期実質国内総生産(GDP)成長率につき前期比年率2.8%増と予想し、景気後退入りより経済の過熱を示唆する。これでは、AGFインベストメンツのグレッグ・バリエール首席ストラテジストが指摘するように「労働市場が異例なほどひっ迫するなかで、近いうちの利下げなど想定し難い」。むしろ利上げ観測が再燃してもおかしくなく、そうなれば再びトランプ大統領と中銀の攻防が、一段と激しくなりそうだ。

——年内のFed利上げ観測再燃は、筆者もリスク・シナリオとして再三申し上げてきたところです。国際通貨基金(IMF)も、米中通商協議の悪化、合意なきBREXITとと合わせ、Fedの利上げを想定外のリスクとして掲げていました。パウエルFRB議長は変わり身もとい決断が早いだけに、経済指標次第での発言の変化に注意が必要です。

(カバー写真:Richard Schneider/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年4月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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