安倍・マクロン会談の成功と日産問題などの危惧

2019年04月24日 11:30

エリゼ宮での日仏首脳会談の際の日仏両首脳の演説の同時通訳ビデオ。是非見て欲しい。


このなかで、マクロン大統領をG20に先立ち日本を公式訪問することが発表された。常識的にはトランプ大統領につぐ令和の国賓第2号ということになる。結構なことだ。スリランカのテロ、価値観の共有、ノートルダム寺院火災へのお見舞いなどが語られている。

仏大統領府公式FBより:編集部

ノートルダム寺院については、世界遺産としてなどといったが、これはちょっと物足りない。いってみればイチローを誉めるのに、「日本のオールスターにも出場した」と寝ぼけた言葉を使うが如し。世界にとってかけがえ無い、日本人にとってどんな大事かを印象に残る言葉で強調して欲しかった。

日産問題についても話し合ったようだが、発表を見る限りすれ違いだ。マクロンが日本の主権と司法を尊重すると言いながら、ゴーンの扱いについてフランス人は推定無罪が貫徹されるように要望したのに対して、安倍首相は日本の司法は公正で独立していると応じたと言うが、徴用工判決について文在寅大統領が同じこと言ったら日本は納得するか。

いまや、在仏日本人は「佐川君人肉事件」以来の嫌なフランス人の対日感情にさらされているのである。

日産サイトより

日産・ゴーン問題については、両首脳がアライアンスの重要性を確認し、安倍首相は「関係者の納得が得られる解決を」というようなことを述べたようだが、西川社長が日産を代表しているわけでないことを認識してのことか問題だ。

もともと日産の代表者はゴーンで、それを検察を利用して排除した西川社長が残っているが、ルノーはそうしたければ、6月の株主総会でフランス人を新経営者に選ぶことも、日本人役員をなんならひとりも選任しないことだってできるだろう。そうなれば、新社長の意思が日産の意思だ。

ただ、そんなことをしたら、企業価値が落ちるから話し合いをしようといっているのに、あたかも西川社長が納得しないと物事が決められないような前提で話をしても意味がない。

持ち株会社の設立による経営統合にしても、それを阻止するのは難しく、本当に戦うべきは、その持ち分の比率や役員の構成などであろう。横になって寝ていていいことはない。だいたい、ゴーンがなんとか日産に有利なかたちで話し合いをしようと腐心していたのに、その努力を西川社長が台無しにしたのである。日産の日本人役員が話し合いに応じるのも嫌なら力勝負で有無を言わさず決着するのが賢明だと常識人は考える。

もちろん、表向きに発表されたことと裏でのやりとりは違うから、日産についてもゴーンの扱いについてもそれなりの成果があったと信じたいが、そうでなかったら、手痛いしっぺ返しが来るだろう。

日本は、中国のように外資企業の経営権を恣意的に侵害したり、中国人なら絶対に逮捕されるような案件でなくとも逮捕してあれこれこれ口実つけて保釈しないような国とは違うのかどうか、いわば「文明国」か似たり寄ったりの「野蛮国」かが問われているのである。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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