ロスジェネ世代インタビュー①長澤興祐・足立区議

ロスジェネ世代議員インタビューの第一弾は東京・足立区議会の長澤興祐(こうすけ)議員(37歳)です。前回の区議会議員選挙で初当選して、4年間の実績と経験を生かして今年の選挙で2期目に挑戦します。長澤議員の考えるロスジェネ世代の課題と対策について、この世代の議員として語っていただきました。

長澤興祐(ながさわ こうすけ ):1981年静岡県生まれ。中学からテニスをはじめ、日大テニス部では副主将。大学卒業後、オーストラリアでテニスコーチ。帰国後、民間企業勤務、高島直樹都議の秘書を経て2015年足立区議選初当選。公式サイト

パラダイムシフト(以下PS) 長澤議員も年齢的にロスジェネ世代ということで、まずはご自身の氷河期における就職活動などの経験から少しお話ししていただけますか?就職活動をした2005年は企業による採用意欲が)まだちょっと下火な時ですよね。

長澤 まだ随分下火でした。(同期より)遅れての就職活動をしましたが、本当に厳しいなと感じました。特に派遣社員が既成緩和でどんどん増えていった時代だったので、派遣の仕事は増えているのに正社員の仕事は少ないという時代でした。
(就職先は)人材派遣会社の営業だったので、景気とか仕事の量を身を持って体感しました。女性たちに派遣の仕事を提供することは沢山できたけれども、やっぱり正社員とか彼女たちが求めているような仕事にマッチングできた実感はなかったですね。

PS 政治家を目指したはいつぐらいですか?

長澤 2009年民主党政権に変わる前に縁があって(高島直樹都議の)秘書になりました。でも、そこから半年後の都議会議員選挙で先生は落選をされました。その時、私だけ事務所に残していただいた。都議会議員が浪人中に秘書を抱えるのは本当に大変です。若さと体力を買っていただいたのかなと思っています。

6年間秘書をやりましたけれど、その内の4年間は落選中の秘書。365日二人三脚でやってきました。その間に政権交代も体験しました。その後、都議会に高島先生が復活をされて議長になるところまで秘書としてお仕えできたのは大きいものがありました。そういった流れの中で、仕事はあまり変えたくない、この仕事を掘り下げていきたいと考え、区議会議員を志しました。

PS   ロスジェネの人たちで最初に不本意な就職をした方々は、これでいいのかなっていう気持ちをずーっと持ち続けて、今に至っているのかな?って思うんですけれども。何かそういう、迷いながら今も仕事をしている方々に励ましのメッセージがあれば。

長澤  そうですね。ロスジェネ世代の方々は転職をすることに抵抗があると思います。スタートで厳しかったイメージが根強く残っていて。でも今がチャンスだと思う。人手が足りない、景気がそこそこに上向いている。今こそロスジェネの人たちが思い切って自分たちのやりたい仕事に挑戦していくべき時期だと私は思っています。

いま区議会議員をしていると、いろんなところに行きます。どこでも人が足りない、未経験でもいい、とにかく人が欲しいという声をどこへ行っても聞きます。となると、思い切ってやりたい仕事へ転職をするチャンスです。そこを支援したいと思っています。

PS   地元を回られてその世代の人たちにどういう壁があるのか、なにか感じられることってありますか?

長澤   30代40代に対する政策ってあるようであまりない。(政策の優先課題として)「高齢福祉だ、子供だ」となって間の30.40世代が抜けている。私ら世代だけが忘れられていいとは思っていない。だから、まず我々世代の声を上げていかなければいけない。

30代40代が社会の歯車としてうまく機能しなくなると、それは子ども達の次の世代にも、それ以降の世代にも続いてしまう。だから国会でも、同世代の議員が子ども保険とかいろんなことをやっていますよね。ああいった声を上げる同世代の政治家が必要だと考えています。反対されようが、どんどんあげて議論すべきだと思っています。だから私は(次の)選挙で勝ったらそういったことを、どんどんやっていきたいと考えています。

PS   この世代の政治家の声を大きくしていかなきゃいけないと?

長澤  はい。同世代の仲間が必要です。政治はコーホートのバランスが大切だと思っています。今まで政治に参加されてこなかった人たちを集めてくるのは、私たち地方議員の担っている役割です。

PS   ロスジェネ議員の数って少なくて、国会議員でも地方議員でもいることはいるんですけど、どうしても若手の部類に入ってしまい、政策を実現するには難しいと思いますが、若手としてできるロスジェネ対策とはどういったことをお考えになられていますか?

長澤  まずロスジェネ世代の議員を増やすことが重要です。同世代に政治に興味を持ってもらい選挙に挑戦してもらう。そのためにも情報発信は続けていきたいと思います。

そして、同世代が集う場にできるだけ多くの場所に足を運ぶ。そして声を「聞く」、同世代の声が届いているという安心感。信頼感をロスジェネ世代に持ってもらうこと。

昨年、福島第一原発に他区の区議会議員1期生の仲間たちとみんなで視察に行きました。(次に行くときには)みんながもう一人ずつ声をかけようと。そうやって仲間を増やしていく、自分の区の中だけに捉われず地域を超えて仲間と繋がる。これが必要だと思っています。

PS   ロスジェネ世代へのメッセージと長澤先生が考えるロスジェネ政策と、今後の抱負についてお聞かせください。

長澤  ロスジェネ対策は「政治は、時代は自分たちで創ること、30代40代、まさにいま自分たちが政治を動かす世代に入ってきたんだということ」をとにかく発信をしていく。必要なのは全員。

議員だけではなくどんな職種だろうが関係なく同世代の皆さん全員なんだ。ということを周知していきたいと考えています。

私たち世代の経験・体験、そして気持ちを上の世代そして下の世代にも伝えていく。過去の経験から前進していく。そこを2期目以降もやっていきたいと思います。


編集部より:このエントリーはパラダイムシフト公式サイト 2019年4月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、パラダイムシフトをご覧ください。