FCエクスポ2019から見た日本の水素社会

2019年05月04日 06:00

毎年恒例のFCエクスポに今年も参加しましたが、毎年参加していると違いと進化に敏感になってくるものです。今年の傾向は、中国、韓国、台湾のメーカーがサイズの異なる燃料電池を製造し、実際に使われ始めているということでしょう。

韓国の燃料電池ドローン(DOOSAN)、SOFC燃料電池(STX Heavy Industries)、再エネ水素製造プラント(Philos)。台湾の燃料電池(YC SYNERGY)。中国のバス等の大型車向け燃料電池。アジア勢が勢いを増していることは間違いないと思います。先頭を走っていた日本の水素技術、「技術で勝って、商売に負ける」そうした事態にならないように、ビジネスモデルを抱き合わせで汎用性を示す必要があると思います。

今回のFCエキスポで、気になったブースについて、コメントをしたいと思います。山梨大学が中心となり、燃料電池の製造・利活用を地元企業との共同研究により、製品化するプロジェクトの成果が見え始めています。キャンピングカービルダーによる燃料電池マネージメントシステム(ミスティックプラニング)、燃料電池スタック・電源システム等の電源用燃料電池システム(日邦プレシジョン)等の開発が進んでいます。

また、高松市の蓄電池バックアップ用メタノール燃料電池(バリオズター)、福岡水素エネルギー戦略会議の支援で生まれた水素用メタルリング、ハイドロブロッカー(TOKIエンジニアリング)、やまぐち産業戦略研究開発補助金で、純粋素家庭用燃料電池システムの水素ボイラー搭載貯湯ユニット(長府公工産)は、新たなビジネスを作り上げると思います。

海外勢で興味を引くのは、Power to Gasが進むのドイツのSunfire。再エネから水素等の工業ガスや軽油等の燃料を生成するソルーションの開発、製造をしています。転換プロセスに使用される個体酸化物型セルはジェネレーターとしても利用可能。

そして、数年にわたり継続的に参加しているフランスのSYMBIO。5年前にフランス・グルノーブルに訪問した際に面白い会社があると仏国CEAに紹介されて視察に行ったのがSYMBIOでした。自動車改造会社として、燃料電池を後付けで設置し、FCとEVのエクステンダーをつくっていました。35Mpa水素を利用し、EVの走行距離が短い不安をエクステンダーで解消するというモデルです。

当時はフランスポストのルノー車両をエクステンダーにするという目標も掲げられていました。今回のブースでは、異なる出力レベルのハイブリット化を提供し、H2MOTIVEモジュールも開発した、と掲げられていました。また、車両データやサービスをクラウドで管理し、リアルタイムなデータを使った遠隔保守、予防安全のデジタルサービスも提供しているようです。僕が初めてSYMBIOに訪問した時に、きっと自動車の最終系は、FCとEVのエクステンダーだと実感した事が、現実化してきている気がします。

衆議院議員として、水素エネルギー政策の実務責任者していた時は、日本は、燃料電池自動車、家庭用燃料電池、産業用燃料電池、水素発電用ガスタービン等、先陣を走っていました。しかし、他国との差が着々と縮まってきていることを実感しています。

燃料電池列車では、他国に先に越されてしまいました。路面電車では中国、レール電車ではドイツ。その原因は、エネルギー政策に関する投資が分散化していること。水素ガスの都市ガス混焼が進まないこと。燃料電池を他企業に提供する本格的な製造メーカーがないこと。水素の利活用モデルを明示出来ていないこと、が挙げられます。

2020年東京オリパラで水素エネルギー社会のショーケースを世界中に伝え、2025年の水素インフラの本格輸出。最初に僕らが描いたスケジュールの修正が今、必要となっています。FCエクスポの講演で、チャイナ・エナジー副社長が語ったことが今でも耳に残っています。「中国は水素に20兆円投資する。2022年北京冬季オリンピックで水素社会モデルを見せる」と。

水素エネルギー社会が世界中に広がるためには、中国が舵を切ることが必要不可欠であることは間違いありません。その意味では、ありがたい事ですが、H2水素ビジネスで日本がどの国にも負けてはいけない、という思いは今までも、これからも変わりません。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2019年5月3日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。

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福田 峰之
多摩大学客員教授、前内閣府副大臣、前衆議院議員

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