何を求める?北朝鮮との無条件会談の提示をした安倍首相

2019年05月10日 14:00

安倍首相が北朝鮮、金正恩委員長と無条件で会う、と発言したことに様々な意見が出ているようです。真意は何なのか、そして安倍首相が会えば何か展開の糸口が見いだせるのでしょうか?

この報に接した時、即座に思ったのが、トランプ大統領から何か入れ知恵があったのだろうか、という点と拉致被害者への配慮という縛りを自分で解いた、という点であります。

朝鮮中央通信、官邸サイトより:編集部

朝鮮中央通信、官邸サイトより:編集部

安倍首相とトランプ大統領とのコミュニケーションは頻繁に行われている中で北朝鮮問題はその主題の一つであるはずです。トランプ氏からすれば先の米朝首脳会談の決裂の分析、および対策についてアジアの目線として安倍首相の意見を求めたことでしょう。安倍首相も韓国との一連の問題を通じて頭を悩ませているわけでお互いに「やりにくい相手」と意見をシェアしたのではないかと察します。

仮にトランプ大統領のささやきで「無条件で金正恩委員長に会いたい」としたならば私の読み方は6か国協議の参加国で金正恩氏と直接対談していないのは日本だけだという出遅れ感が一つ、もう一つは6か国の中では客観的に見て一番中立的になれる点を指摘したのではないかと考えています。

北朝鮮を取り巻くのは中国、ロシア、アメリカという大国と同じ民族の韓国であります。アメリカは地政学的には遠いですが、金正恩氏が最も意識する国だけにアメリカが引きずり込まれているという見方もできなくはありません。その中でトランプ氏の誤算とは「なぜ、この弱小国とのディールに苦労しなくてはいけないのか」と「この若者の行動、心理は世界の主要なリーダーとは一線を画する」点を改めて認識し、安倍首相とタッグマッチを組みたいという意思の表れではないかとみています。

では、安倍首相は今、北朝鮮と対峙できるのでしょうか?

個人的には疑問視しています。まず腹を割ってこないでしょう。金正恩氏が最近行った直接外交は基本的にはことごとく失敗しています。失敗の理由がどこにあるかですが、外交の準備が稚拙で人材もいない上に金氏そのものの性格が災いしている可能性はあります。それは彼に人を信じるという気持ちがほとんど欠如しており、交渉という相手との信頼関係の醸成ができないように見えます。事実、トランプ、プーチン氏らの交渉時の顔は明らかに構えています。習近平氏も同様だったのではないでしょか?

今、安倍首相が無条件会談をしたとして何があるか、といえば(北朝鮮でやれば)外遊先の国が一つ増えた、ぐらいだとみています。あえて言うなら直接会った金委員長の印象をトランプ大統領とゴルフ談義で「そうだねぇ」とうなずくぐらいでしょう。

何故、私がこの件でネガティブか、といえば金委員長のゴールポストは韓国以上に動くことが分かっており、今、なんら言質は取れないとみているからです。安倍首相の成果品は期待できないし、拉致被害者問題の進展も困難でしょう。経済支援パッケージは非核化のお約束が完了しないと打ち出せません。日本が1兆円出すぐらいで核ミサイルを止めるとは言わないでしょう。それは彼の最愛のガジェットだからであります。

安倍首相は朴槿恵元大統領と疎遠だった当初、全く同じように胸襟を開き、いつでも会談をしたいと言い続け、確かに一時的にうまく言ったものの大統領が代わり反故されました。個人的には今はまだ安倍首相が金氏と会う時期にはないと感じています。もしも本当に会うなら、韓国との関係に何らかの決着をつけてからでないと「あぶはち取らず」になるのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年5月10日の記事より転載させていただきました。

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