大津事故:加害者と同世代ドライバーとして感じた必要性

2019年05月11日 06:00

ここ数日、マスコミで騒がれている大津の事故。
またしても幼い子供達の命が奪われたことに、皆さんと同じく心を痛めております。
親御さんのご心中はいかばかりか、察するにあまりあります。

また保育園の園長の会見はつらくて見ることができませんでしたが、そのような会見を報道側から要請したとしたら神経を疑います。なんの過失もない保育園が記者会見を開く必要があったのでしょうか?
最近のマスコミ特にテレビのあり方を今一度見直して頂きたいと願います。

さて、事故の詳細が少しずつ分かって参りましたが、どうやら右折車の前方不注意だった様子で、何故右折の瞬間に前を見ていなかったのか?原因はまだわかっておりませんが、これを聞いてまず思ったのは「人ごととは思えない」というぞっとした気持ちでした。何故なら、事故を起こしたお二人が私と同年代の女性ドライバーだったからです。


このお二人も、地方にお住まいなので、日常的に車に乗っておられたと思いますが、私も、都会のど真ん中で、ほぼ毎日車を使っています。10代で免許をとり、23歳から本格的に毎日乗るようになり30年以上が経過しました。

大体、私のようなタイプは自分では運転がうまいと思っているので、自己診断はあてにはならないですが、よく「首都高は怖くて乗れない」とか、「夜は運転できない」「雪道は走れない」などという声を聞きますが、そういったストレスは全く感じることなく運転できる程度には乗り慣れています。

けれどもここ数年、50を過ぎたあたりから正直なところ、「運転が下手になった…」「ひやっとすることが増えた」と思っておりました。

まず第一に集中力が落ちたと実感しています。
集中力というのも一つの体力だと思うのですが、運転中にすごく気が散るようになったなぁと思うんですね。
昔は、東京から関西や東北まで平気で運転していましたが、今ではとてもじゃないけど、そんなに運転し続けられません。

次に、よく言われますが反射神経の衰えですね。これもある程度仕方がない事ですけど、その分スピードを出しすぎないよう気をつけています。

あとなんせ50歳を過ぎると目の調子がガクンと悪くなるんですね。
時々チェックしないと、気がつかない間に度が合わなくなっているらしく、前回の更新の際に試験場で合格ギリギリだったので、焦ってしまいました。

それと私が思うに車がどんどん進化し便利になりすぎて、運転が楽すぎて、気が散る、気が緩むというのもあると思うのです。私が免許をとった頃は、ハンドルもパワステじゃなくいわゆる重ステ。両手でちゃんとハンドル握ってないと、曲がりきれません!みたいな時代でした。

そしてなによりもナビがなかった!
これはですね、今思えばものすごく集中力を発揮したと思うんですよね。なんせ、私のような方向音痴は、いちいち側道に車を止め、地図を確認し頭に叩き込み、標識をよく眺め、見落とさないようにして目的地に行かなくてはならなかったので、今よりずっと緊張感があった気がします。

ところが今や、ナビが言うとおりに行くだけなので、道は覚えないは、緊張感はなくなるは、むしろナビで道を間違えたり、ナビが変な道を示すと、それで前方不注意になったりします。そしてこういったナビトラブル時の判断力も、50歳を過ぎて極端に鈍くなりました。最近は「いくつで運転を止めるべきなのか?」ということを度々頭をよぎるようになりました。

我が家は、夫がとにかく安全性能第一主義で車を選ぶ人なので、自動ブレーキ登載車を選んできましたが、私も最近は安全性能が第一選定条件だなと自分の衰えと共に感じるようになりました。

でも一番重要なのは、このように自分では様々な変化を「感じて」いても、自分では「止める決断」ができない…これがドライバーの最大の問題だと思っています。

先日の池袋の87歳の方が起こした母子死傷事故でもご自身でもそろそろ運転をやめようかな?と思われていた。
けれども結果、事故を起こすまで止められなかったわけで、この「感じて」いるのにズルズルいってしまう…というのが現実ではないでしょうか。

だからやはり法的にどこかで線をひいてくれること。残念に思う気持ちがあっても、「仕方がない」というあきらめは肝心だと思うのです。

私が思うに、自動ブレーキ登載車の義務付けはもちろんのこと、50歳を過ぎたら、視力検査もあんな大ざっぱなものでなく、もう少し丁寧にやることを義務付けた方が良いと思います。

それと免許更新時の安全講習が意味がなさすぎます。
お涙ちょうだいのビデオや誰も読まない教本なんか作っていないで、年齢別にして、50歳を過ぎたらゴールドでも必ず1時間以上の教習、そして若い頃よりどういう機能が衰えているか?シュミレーションで実感させ、それを補うためにどうやったらいいか?など、トレーニングをしたらどうかと思います。

更新時にあれだけの労力を使うのですから、警察の天下りが十年一日同じことをおざなりにやってないで、もっと同じような事故を減らすために色々工夫して欲しいです。あの講習30年全然変わってないですもんね。

そして70過ぎたら、運動機能のチェックをするテストをし、それに合格しないと免許更新は不可。
85歳で全員免許返納とか、その位の事は考えるべきではないでしょうか?その代わり地域の交通網や、買い物サービスなどを充実させる必要性はあると思いますが。

大津の事故で同世代の加害者となった女性たちをみて、法による線引きの必要性をつくづく感じた次第です。
痛ましい事故がこれ以上続かないことを願います。


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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