トルコ取材で思ったこと:日本の防衛産業に先はない

2019年05月11日 11:30

先週、トルコの軍事見本市IDFF2019に行っておりました。

この四半世紀ほどでトルコの軍事産業は中国同様に長足の進歩を遂げております。

主要コンポーネントはまだ海外製に頼っているケースが多々あるにしても、陸軍用装備はほぼ国産です。装甲車両にしても、ISR関連にしても遥かに我が国を凌駕しています。

また、レールガンや軍用ハイブリッド車輌、レーザー砲などの研究開発も多数の企業が行っています。

RWSに至っては、アセルサンをだけでも20種類以上、オトカ、FNSS、MKEその他の企業で40種類以上は開発されています。やっとFFMに搭載されて初めて導入した自衛隊(陸自は未だ実績ゼロ)とは偉い違いです。しかも自国以外にも輸出をしていますから、輸出先からのフィードバックも結構あるでしょう。またシリアやクルド関連の作戦で多くの実戦からのフィードバックもあるでしょう。

日本の防衛産業は先進国レベルであると信じるのは自由ですが、世間知らずに自衛隊だけを顧客として、汎用性があるものでも自衛隊以外に売ろうとしない日本の防衛産業は死滅へと向かうでしょう。

先日も中国の壁面透過レーダーを紹介しましたが、今回はトルコ企業も壁面透過レーダーを発表していました。対して我が国では10年ぐらい前に技本が開発するも自衛隊では採用しておらず、メーカーは警察や自治体に売ることも、輸出することありませんでした。当然技術は磨かれません。

とてもメーカーとして生き残れる環境ではなく、当事者意識&能力もない。

そして自衛隊もメーカーも自衛隊村の社内政治的な適合性しかみてない。今後コマツが装甲車ビジネスから撤退したように撤退するメーカーや商社も増えてくるでしょう。

トルコにも問題があります。不透明な政治的な意思決定の横行です。

次期主力戦車アルタイ開発は本来ならば装軌車輌を長く手がけてきた、FNSSに任せるべきを、装輪装甲車しか経験のなかったオトカに任せました。これは大統領とオトカの社長が姻戚関係にあったからです。

そして昨年には量産はトラックメーカーで装輪装甲車も生産しているBMCが担当することに決定しています。これまた大人の事情があったようです。

我が国が防衛産業のパートナーして組むのにトルコは適した相手だと思いますが、こういう不透明かつ恣意的な政治決定があることは覚えておいたほうがいいでしょう。

IDEF2019の記事は東京防衛航空宇宙時評で紹介しています。

■本日の市ヶ谷の噂■
空自の舗装滑走路でしか運用できないお上品な「お嬢様輸送機」C-2は、調達及び運用コストが高騰したために、調達機数は当初予定の30機以上から22機に減らされた。当然派生型機の開発も絶望的との噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2019年5月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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