教育最前線①興味開発型の学び

こんにちは、都議会議員(町田市選出)おくざわ高広です。

※画像はイメージです(写真AC:編集部)

今日からスタートする不定期連載「教育最前線」シリーズ。第一弾は、興味開発型の学びを実践する 探究学舎 の見学ならびに、代表の 宝槻泰伸さん との対話をお届けしたいと思います。

まず、皆さんがお子様を塾に通わせるとしたらどのような観点で選びますでしょうか?

受験も勉強も教えない教室
成績アップも合格も目指さない
興味開発という新たな学び舎

に参加したい親子が殺到していると聞き、三鷹市の探究学舎さんへお伺いしました。

学びの様子はこちらをどうぞ

小学生低学年クラスなのに、大航海時代のお話からスタート。バスコダガマとかカルヴァリン砲とか高校世界史で出てくる言葉が子ども達の口からバンバン出てくることにまず驚きました。なぜだろうと思って見ていたら、そう、子ども達が目をキラキラさせて、楽しそうに学んでいるんです。

代表の宝槻泰伸さんは、こう言います。

学校の授業は能力開発。ここでの学びは興味開発です。

興味開発とは、

子どもたちが「好きなこと」「やりたいこと」を見つけることができるように、「もっと知りたい!」「やってみたい!」という興味の種をまき、ひとりひとりの探究心に火をつけること

のようです。確かに、私の経験上も100の漢字練習よりも1の「好き」が学びの効果が高いことに納得です。

宝槻さんは続けます。

将来的に自立していくためには、能力開発が重要なのは間違いありません。しかし、それだけで足りるのでしょうか。

これまでの学びは、将来獲得賃金などの数値化できるものを根拠に、学歴などの目に見える価値を高めるべく能力開発にいそしんできました。しかし、働き方も変わる中で、QOLや幸福度といった目に見えにくい尺度を大切にしていこうとする方が増えています。

私は、興味開発が市民権を得ること(社会全体で応援しようという合意形成)ができるように、興味開発を求める方々に向けて市場を広げていきたいと思っています。

実際に、探究学舎さんに通う親子は毎年、倍々ゲームで増えているそうです。

先日視察した大阪市では、塾代助成事業として、いわゆる学習塾だけでなくスポーツや文化など、あらゆる学びに対して、助成金が出ます。一方で東京都では、学習塾代の貸与(実際返還不要)と放課後を利用した学校内学習塾の大きく2つしかありません(これはこれで素晴らしいと思いますが)。

宝槻代表はさらに、

将来的には興味開発は市民権を得るでしょう。その時に、能力開発も興味開発も学校で完結しようとするか、能力開発は学校で興味開発は民間でと分業が進むか、の2つの選択肢があります。私は、今よりも学校が短時間になり、午後からは子ども達それぞれの興味開発へ。ということが理想であり、分業の方がより効果的と考えています。その時のために、市場原理の中で、興味開発型の学びが社会全体に認められ、携わる人も信頼されるやうに取り組んでいきます。仕事はあくまでも社会変革のツールですから。

宝槻代表のおっしゃることに深く共感しました。私は、一斉授業の廃止や無学年制の導入、個別最適化された学びによる学校の短縮化と学校外での学びの充実が必要と考えています。一方で、学校がすぐに変化することはあり得ないとも感じており、まずは大阪市のように多様な学びを社会全体で支援することが出来るような制度を整えたいと思っています。それが、興味開発型の学びが市民権獲得を早めることに繋がるはず。私は政治をツールとして社会変革を起こしていきたいと決意を新たにしました

そうそう、無所属東京みらいでは、価値観の転換という言葉をよく使うのですが、宝槻さんの市民権を得るという言葉と同意であることにも気づきました。今はマイノリティと思われているけど、確かに存在し、かつ大きく成長していくナニカがあるとき、それを成長させたくない既得権益者とそのナニカの成長を促す社会変革のプレイヤーが衝突します。その結果、ナニカが社会全体に認められることを改革と呼ぶのかなぁとおぼろげに考える1日となりました。

最後に、学び舎をこころよく見学させていただき、お話を聞かせていただきました探究学舎様、宝槻様、参加されていたお子様、ご家族に感謝申し上げます。ありがとうございました。


編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年5月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログ『「聴く」から始まる「東京大改革」』をご覧ください。