ウーバーとメルカリ、共通すること

2019年05月13日 14:00

ウーバーがニューヨークで上場しました。私もウォッチリストに入れて初値形成がどうなるのか、上場初日はスクリーンをチラチラと見続けていましたが、45ドルの売り出しに対してようやくついた初値は42ドル、そして一日目の引け値は41.57ドルでした。携帯のソフトバンクが分離上場した時も公開価格を下回り、今もってその価格を抜くことはできません。孫正義氏にとっては2連敗なのでしょうか?

IPOがさえなかった経営者の第一声で「温かく見守ってほしい」との発言をよく耳にします。話題性はあっても往々にして一度も黒字になったことがない企業も目立ち「今はまだ成長段階、もう少しすればきっと期待にお応えします」というメッセージが込められているわけです。

(ウーバー、メルカリ公式ロゴより:編集部)

(ウーバー、メルカリ公式ロゴより:編集部)

このメッセージの先駆者はアマゾンのジェフ ベゾス氏でしょう。巨大企業になっても黒字にならずキャッシュフローをすべて投資に回すことに対して一部株主から怨嗟の声が上がっていたのは今から5-6年前だったでしょうか?その頃の投資家が今でも同社株を持っていればジェフの言うことは正しかった、と安どしていることでしょう。同様に孫正義氏のソフトバンクもかつては巨額投資ばかりで赤字続き、銀行も手を引くのではないか、と思わせるほど膨らませ続けたのに今では金の卵。

ではそんなおいしい話がいつまでも続くのでしょうか?

ウーバーにしろ、それより少し前に上場した同業のリフトにしろ、市場の成長期待が低いのはなぜでしょうか?それは世界戦略という前提に立った時、ライドシェアにおいてウーバーやリフトでなくてはいけない理由がないからではないでしょうか?

我々がタクシーに乗るとき、何色のタクシーにしか乗らない、という明白な嗜好を持っている人は少ないでしょう。ましてや街中で今すぐに車を拾いたいとき、何でもよいから止まってくれたタクシーに乗るはずです。つまり、タクシーを使うのは目的地に如何に早く、便利に到着できるかが価値であり、その選択プロセスはFirst Come First Serve以外の何物でもないのです。

もちろん、ウーバーが普及することでタクシー業界を市場から追いやり、潜在的市場シェアを増やすことは可能です。しかしながらそれを他国の他都市で同様に展開するにはハードルは低くないように感じます。

メルカリ。先日の1-3月決算では28億円の赤字となり、上場以来4四半期連続の赤字となっています。アメリカでの展開に苦労しており、投資も膨らんでいます。日本ではフリーマーケットが確立した市場として形成されてなかったので同社は大きく成長したのですが、北米ではクレイグズリストというお化けフリマが存在します。実はこのクレイグズリストは東京版もあり、私も東京での外国人向けマーケティングでかなり活用させていただいております。ここならば日本のどんな専門ポータルサイトよりも反応は早いのです。そして無料であります。「誰でも知っているクレイグズリスト」だからでしょう。それこそ個人間売買のディファクトスタンダードなのです。

ウーバーのライドシェアもアメリカでは80年代からごく普通にあったコンセプト。通勤の際、同方向に向かう近所の人たちが渋滞緩和とガソリン代の節約を兼ねて数人でライドシェアをして通勤コストを下げるという発想です。(北米では通勤代は会社から支給されません。)

ウーバーとメルカリに共通して言えることはアイディアが基本的に焼き直しであり、より多くの潜在市場に届くための工夫こそあれど全世界で既存の市場を打ち破り、世界基準とはなりにくいところに難しさがあるのだろうと思います。

個人的にはウーバーやリフトなどのシェアライドの発想は面白いし発展すると思いますが、ブランドが世界各地で林立するリスクがないとは言えない気がします。

こういうことを考えるといつも思い出すことがあります。スターバックスはコーヒーの代名詞になったのか、であります。私はスタバはコンセプトを売るのは上手だったが、コーヒーそのものは流行の一環だったと思っています。なぜなら人の舌に世界標準を押し付けるのは不可能だからです。事実、彼らはオーストラリアとイタリアは攻略できませんでした。コーヒーのテイストの部分で負けたのです。だからと言ってスタバがダメだと言っているわけではありません。

我々はGAFAという世界市場を支配する会社を見過ぎているのかもしれません。一カ国、いや一地域だけでも制覇すれば成功したビジネスと言えるかもしれないのに追随を許さない世界NO1にならねばならないという野望が先行し、投資家がそれを煽り、期待倒れになる、というシナリオです。

ウーバーもメルカリももっと自然体で市場との対話を取り込みながら溶け込むという発想も必要なのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年5月13日の記事より転載させていただきました。

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